ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A
ダークマターは見えないのに、なぜ存在が信じられるの?
ダークマターは光や電波を放ったり反射したりしないので観測することができません。
しかし質量があるのでダークマターが他の天体に及ぼす重力の影響によってダークマターの存在を知ることができます。
銀河団の運動
100個以上の銀河の集まりを銀河団といいます。
これだけ銀河が集まっているのに、銀河団は重力によって1つに固まりません。
これは個々の銀河が好き勝手な方向に速いスピードで移動しており、お互いの重力を振り切っているからです。
一方、銀河は重力でお互いにブレーキをかけるので、好き勝手な方向に速いスピードで移動していても銀河団がバラバラにはなりません。
つまり、銀河団は個々の銀河の「飛び出そうとする勢い」と「引き戻そうとする重力」がバランスして、銀河団としてのまとまりを保っているのです。
1930年代に個々の銀河の速度(飛び出そうとする勢い)を観測から求めたところ、予測以上に銀河の移動スピードが速いことが判明しました。
銀河団全体の重力(引き戻そうとする重力)は、銀河団を構成する銀河の数を調べることで計算できます。
計算で求めた重力にバランスするための銀河のスピードも計算で求めることができます。
ところが、計算で求めた銀河のスピードよりも実際の銀河のスピードの方が10倍も大きかったのです。
10倍も大きければ、銀河団はとっくにバラバラになっているはずなのに、今もなお銀河団が健在なのは、見えている銀河の10倍の物質がなければなりません。
ツウィッキーは、観測では検出できない物質が存在すると仮定して、これをダークマターと呼びました。銀河と銀河の間の空間にもダークマターは満ちています。
銀河団のガス
銀河団はガスで満ちていて、中心付近のガスの温度は1億度にも達し、強力なエックス線を放っています。
これほど熱いガスであれば、運動が活発なため散り散りになってもていいはずです。
そのような熱いガスが、中心部に留まっていられるのは、そこにダークマターがあるからです。
ダークマターの重力がガスを引きとめているのです。
銀河の回転
太陽の重力と地球の遠心力がバランスを保っているので、地球は太陽からの距離を一定に保ったまま公転します。
太陽の重力は、太陽から離れるに従って弱くなるので外側の惑星ほど公転の遠心力が弱く、公転のスピードが遅くなります。
銀河に含まれる恒星もこれと同じで、 銀河の重力と、個々の恒星の遠心力がバランスした状態で銀河が回転します。
実際に個々の恒星の公転スピードを測定すると、予測以上に大きいことが分かりました。
しかも、銀河の中心から離れても公転のスピードが遅くなりません。
このことから、銀河には光での観測で検出されない物質(ダークマター)が多く含まれていて、銀河の端まで分布していることがわかります。
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参考文献・サイト
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass/index.html
http://imagine.gsfc.nasa.gov/docs/science/know_l1/dark_matter.html
http://cdms.berkeley.edu/
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/dark_matter.html
2012/07/31