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ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A

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宇宙で最初の星はいつ生まれたの?

宇宙が晴れ上がったとき、見通しが良くなったので遠くの星がきれいに見えただろうと思いがちですが、それは誤りです。
その時代に星はありませんでした。
宇宙が晴れ上がったあとの宇宙は見渡す限りの闇だったのです。
最初の星が誕生するまでの4億年間を宇宙の暗黒時代といいます。



この暗黒時代の主役は水素やヘリウムのガスですが、黒子としてのダークマターの働きも重要です。
ダークマターの密度が高い領域は重力が大きいので、周囲からダークマターを集めます。

するとさらに重力が大きくなるので、余分に周囲のダークマターを集めます。

このようにダークマターの密度の高い部分に水素やヘリウムが引き寄せられ星が生まれました。
またこのような密度の濃淡が、やがて宇宙の大規模構造へと発展していきます。



もし、この宇宙にダークマターが無かったら、宇宙誕生から137億年経過した今でも、宇宙の構造ができていなかったことでしょう。

ビッグバンとインフレーション宇宙
宇宙誕生から現在まで
出展:The End of the Dark Ages: First Stars and Reionization



暗黒時代が終わると、いよいよ最初の星が生まれます。

理論上、この時代に出現した最初の恒星の質量は太陽の30倍から300倍くらいであったと予測されています。

このような大質量星は数百万倍の明るさで輝き、強烈な紫外線を放ちます。

この紫外線の影響で、宇宙の晴れ上がり時に作られた原子の一部がイオン化してしまいました。これが宇宙の再電離という現象です。



宇宙で最初の恒星を第3種族と呼びます。

第3種族は巨大で非常に明るい半面、寿命は短くわずか2〜3百万年で超新星爆発を起こして一生を終えます。

宇宙の暗黒時代が終わり、最初の恒星が出現してからの6億年間を宇宙の再電離時代といいます。

しかし、最初の恒星が誕生した正確な時期や再電離の過程は不明なことが多く今後の調査が待たれます。



遠方の宇宙を見るということは、過去を探るということです。
ハッブル宇宙望遠鏡ではおよそ130億光年先の宇宙を観測することができました。
宇宙の一番星に迫るには、ハッブル宇宙望遠鏡を持ってしてもまだ能力が及びません。
そこで登場するのがジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です。



130億光年以上先の宇宙から来る星の光は赤方偏移のため、赤外線領域にあります。
ハッブル宇宙望遠鏡は可視光で観測する望遠鏡なので、この領域の探査に使用できません。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外領域を観測する望遠鏡なので、このような銀河の種の観測が期待されているのです。



ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の名前は、NASAの2代目長官ジェームズ・ウェッブ氏に由来します。
ウェッブ氏が就任した当時のNASAは、宇宙開発で先行するソ連に大きく水を開けられた状態でした。
ウェッブ氏はマーキュリー計画、ジェミニ計画を強力に推進してソ連との距離を縮め、米国の宇宙開発に大きく貢献しました。
1967年、3名の宇宙飛行士が地上訓練中の火災で命を落とす痛ましい事故が起こります。
このとき、事故原因の究明と再発防止の陣頭指揮を執ったのがウェッブ氏でした。
米国の有人月着陸一番乗りがいよいよ現実的になってきた1968年、ウェッブ氏は任期を終えてNASAを去ります。
アポロ計画で初の有人飛行(アポロ7号)が行われる、わずか4日前のことでした。

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参考文献・サイト

http://imagine.gsfc.nasa.gov/docs/sats_n_data/satellites/jwst_darkages.html
http://www.jwst.nasa.gov/firstlight.html
谷口義明(著)「宇宙を読む」中公新書,2006
ニュートン2011年9月号

2012/07/31



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