月の裏側を語る。
月の裏側とは
月は自転していないのか?
月はいつも同じ面を見せている。
だから表面の模様をウサギに見立てたりしたのだ。
もし、月が自転していたら表面のウサギの模様が動いていくはずだ。
だから月は自転していないと思う人がいる。
これは誤解だ。月はちゃんと自転しているのだ。
月は約27日で自転するが、同じ期間で公転もする。
自転と公転の周期が一致してしまったから、いつも同じ面を地球に向けているのだ。
これを潮汐作用という。
地球から見えない月の裏側
これに対し、地球から見えない側を月の裏側という。
月の裏側(アポロ16号の撮影)
出展:NASA
月は身近な天体でありながら、人類が初めて月の裏側を知ったのは20世紀の後半のことだった。
1959年、旧ソビエトのルナ3号が月の裏側の撮影に初めて成功した。
そこは、表側とは違って海のすくないクレーターだらけの世界であった。
1965年になると、ソビエトはゾンド3号を投入し、さらに解像度の高い月の裏側の写真を撮影した。
ソビエトはこれらの成果を元に、月面地図や月球儀を発表した。
宇宙開発の初期、ソビエトは米国を圧倒したが、人間が月の裏側を直接目視したのはアポロ8号だった。
1998年に打ち上げられた日本の火星探査機のぞみは、月の重力を利用して加速したが、このタイミングでのぞみは月の裏側を撮影した。
これにより、日本は、旧ソビエト、米国に次いで月の裏側を撮影した3番目の国になった。
月の裏側の素顔は?
海が少ない月の裏側
月の裏側と表側の際立った違いは、海の広さである。
月の表側において、海は30%を占めている。
ところが、月の裏側の海は2%程度しかない。
月の裏側はクレーターが密集している。
何故、月の裏側に海が少ないのかはよく分かっていない。
マグマの分布が表側に偏っているとの見方もある。
表側と裏側で地殻の厚みも異なっている。
この動画を見ると、月の裏側の様子がよく分かる。(特に0:55以降)
出典:YouTube NASA | A View From The Other Side
月の裏側にある太陽系最大のクレーター
月の裏側の南部に太陽系最大のクレーターがある。
月の裏側
出展:NASA Solar System Exploration
直径が2250km、深さが12kmの南極エイトケン盆地[South Pole-Aitken basin]だ。
南極エイトケン盆地には、永久に日光のあたらないエリアがあり、そこに氷が存在することが有力視されている。
この南極エイトケン盆地からのサンプルリターンがNASAで計画されている。
月の裏側は本当に見えないのか?
秤動の影響で少しだけ月の裏側が見える
月の裏側は地球から観ることはできないが、地球から輪郭に近い裏側を見ることができる。
月はごくわずかであるが、首を振るように向きを変えているからだ。
これを秤動という。
出典:YouTube NASA | Moon Phase and Libration
長期にわたり丹念に観測すると、秤動の作用で月の全表面の59%程度を見ることができる。
地球から絶対に見えない領域は約40%程度なのだ。
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参考文献・サイト
2010/11/21
2015/09/04