宇宙原理を語る。
宇宙原理とは
宇宙に現在地はあるのか?
「宇宙は均一であり、特別な場所も、特別な方向もない」という考えを宇宙原理という。
「太陽は密度が高いし、惑星間空間はスカスカじゃないか。明らかに不均一だ」といった、ローカルな話をしてはいけない。
宇宙全体を見渡したときに、物質は偏りなく一様に散らばっているという考えが宇宙原理なのだ。
「特別な場所がない」ということは「端がない」ということである。
同様に「中心もない」ということでもある。
駅などの案内地図には「現在地」が書かれている。
宇宙には特別な場所がないので、宇宙全体のなかで、太陽系がどこかといった現在地を知ることはできないのだ。
これは、不思議なことである。
宇宙が始まって137億年が経過した。
「宇宙での今の時間」は決められても、「宇宙で今いる場所」は決められないのである。
宇宙原理は正しいのか?
宇宙背景放射
宇宙は飛び交う電磁波で満たされている。
宇宙のあらゆる方向から、均一な電磁波が放射されている。
これを宇宙背景放射という。
宇宙背景放射は遥かかなたからやってくる。
偏りがないのだ。
これは宇宙原理は正しいことの証拠の一つである。
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ハッブル・ディープ・スペース
ハッブル宇宙望遠鏡が入念に探査したおおぐま座の一画をハッブル・ディープ・フィールド・ノース、きょしちょう座の一画をハッブル・ディープ・フィールド・サウスという。
ハッブル・ディープ・フィールドは狭いエリアではあるが、その中には3000個の銀河が撮影されている。
その様子は、ノースとサウスで違いはない。
天球上の正反対にある微小な二つのエリアを比較しただけであるが、宇宙原理が正しいことの証拠になっている。
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宇宙原理と物理法則
宇宙原理によると、宇宙には場所による違いがないことになる。
これは、物理の法則や、物理の定数は宇宙のどこでも共通であることを意味している。
地球とアンドロメダ星雲とで、万有引力定数、プランク定数、円周率、質量保存の法則が異なることはあり得ないのである。
物理の法則は、宇宙全体で普遍的なのだ。
ビッグバンと宇宙原理
ビッグバンによって始まった宇宙は、今もなお膨張を続けている。
この膨張は永久に続くのか、減速して停止するのか、収縮に転じるのかを判定するは、宇宙に含まれている物質の総量を知る必要がある。
そのためには、宇宙にある物質の平均密度を推定しなければならない。
アインシュタインが平均密度を推定する際、論理に導入したのが宇宙原理である。
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参考文献・サイト
Big Bang Cosmology
Big Bang Cosmology
Cosmology
2008/08/30
2009/05/10