ハッブル・ディープ・フィールドを語る。
ハッブル・ディープ・フィールドとは
ハッブル宇宙望遠鏡が入念に探査したおおぐま座の一画をハッブル・ディープ・フィールドという。
HDF[Hubble Deep Field]と略す場合もある。
ハッブル・ディープ・フィールド
出展:Hubblesite
銀河は互いに遠ざかる。
そして遠方の銀河ほど、このスピードは速い。
この法則をハッブルの法則という。
エドウィン・パウエル・ハッブル[Edwin Powell Hubble:1889-1953]がその発見者だ。
ハッブル宇宙望遠鏡は、このハッブルの名にちなんでいる。
ハッブル・ディープ・フィールドは、1辺がわずか144秒(秒は角度の単位で1度の3600分の1)の狭いエリアである。
おおよそ、満月の直径の100分の1程度のサイズに相当する。
このエリアは、10日間かけて撮影された342の区画の画像をつなぎ合わせたものだ。
ハッブル・ディープ・フィールドの特色
おおぐま座は銀河面(天の川)とは垂直の方向にある。
このため、この方向は星やダスト、星間雲が少くない。
遠くの宇宙まで見通すことができるからだ。
おおぐま座の一画が撮影対象として選ばれた理由がここにある。
ハッブル・ディープ・フィールドは狭いエリアではあるが、その中には3000個の銀河が撮影されている。
その中で最も遠いものは120億光年の彼方にある銀河である。
120億光年の銀河は、120億年前の銀河の姿である。
つまり、遠くの宇宙を観測することによって、はるか過去の銀河についてのデータを得ることができるのだ。
ハッブル・ディープ・フィールドで確認されたはるか遠方の銀河(初期の銀河)は、不規則で小さなものが多い。
矮小銀河も多数ある。
これは銀河は小型の銀河が集まって、通常の銀河を形成するという理論を支持する事実である。
HDF-S と HDF-N
おおぐま座の一画に続いて、南天にあるきょしちょう座の一画もハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された。
このエリアをハッブル・ディープ・フィールド・サウス[HDF-S:Hubble Deep Field South]という。
これと区別するために、従来のハッブル・ディープ・フィールドをハッブル・ディープ・フィールド・ノース[HDF-N:Hubble Deep Field North]ということもある。
HDF-SもHDF-Nも銀河の様子に違いはない。
天球上の正反対にある微小な二つのエリアを比較しただけであるが、このことから、宇宙は均一であるという宇宙原理がどうやら正しそうだということも言えそうだ。
ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド
2003年から2004年にかけて、ハッブルはろ座の領域の深宇宙も撮影した。
これで得られた画像をハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド[HUDF]という。
HUDFには、宇宙誕生後8億年目の銀河も撮影されている。
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参考文献・サイト
HUBBLE SITE
THE HUBBLE SPACE TELESCOPE
ESA's public Hubble pages
2010/11/18