プログレスを語る。
プログレスとは
補給船プログレスはソユーズを改良したロシアの無人貨物輸送船である。
初代のプログレスは1978年から1990年までの間に計42機が打ち上げられ退役した。
現在は、初代プログレスを改良したプログレスMとプログレスM1の2種が運用されている。
プログレス
出展:Russian Progress Spacecraft
プログレスは、使い捨て貨物輸送宇宙船であるため、再利用しない。
元々はロシアの宇宙ステーション(ミール、サリュート)への補給用に開発された。
燃料、呼吸用の空気、水、食料、衣服、実験機器、保守用の交換部品、クルーへの郵便を国際宇宙ステーションへと輸送する。
国際宇宙ステーションへ補給物資を輸送したあとは、国際宇宙ステーションで生じたゴミを積載し、大気圏に突入し燃え尽きる。
プログレスには輸送以外にも、リブーストという重要な役割を持っている。
国際宇宙ステーションは熱圏内を飛ぶ。
熱圏の空気は極めて薄いが、国際宇宙ステーションはわずかな空気の抵抗を受けて、少しずつ高度が下がる。
そのまま、放っておくと国際宇宙ステーションは落下してしまうのだ。
プログレスは国際宇宙ステーションにドッキングしたままの状態で、ジェット噴射し国際宇宙ステーションを元の高度に戻すのである。
これがリブーストだ。
コロンビアの空中分解事故以来、2003年2月から2005年7月まで、スペースシャトルの運用が停止されていた。この間の国際宇宙ステーションへの補給を一手に引き受けたのがプログレスだ。
バイコヌール宇宙基地から、ロシアのソユーズロケットで年に3回程度のペースで打ち上げられる。
打ち上げられたプログレスは二日かけて国際宇宙ステーションに接近する。
ドッキングはすべて自動だが、プログレスが国際宇宙ステーションに150まで接近した時点から、地上のスタッフが動きをモニターし緊急事態に備えている。
国際宇宙ステーションのズヴェズダにも、バックアップの制御装置がある。
通常はズヴェズダにドッキングするが、ピアースへのドッキングも可能だ。
与圧部に1700キログラムが積載できる。
プログレスの種類
プログレス
1990年5月までの間、計42機のプログレスが打ち上げられた。
プログレスM
1989年8月にプログレスMの一号機が打ち上げられた。
推進剤タンクを4個持つ。そのうちの2個には燃料、他の2個には酸化剤が積まれている。
これらの燃料と推進剤は、ISSとのドッキング中、パイプを通してISSに補給される。
プログレスM1
プログレスM1は、4個の水タンクを取り外すことによって、プログレスMでは4個だった推進剤タンクを8個に増やしている。
8個のうち4個には燃料、他の4個には酸化剤が積まれている。
ミールへの補給ミッションで2000年2月にデビューした。
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参考文献・サイト
Russian Progress Spacecraft
JAXA:プログレス補給船
Progress M
Mir Space Station
2007/08/11
2010/10/07