ティコの新星を語る。
ティコの新星とは
1572年に出現した超新星をティコの新星と呼ぶ。
ティコ・ブラーエが詳しく観測したからこの名称がついた。
ティコ[Tycho]を「チコ」と表記する場合もある。
新星というが実際は超新星である。
当時は新星と超新星の区別が明確でなかったからだ。
ティコの新星は、カシオペヤ座に現れ、1年以上に渡って肉眼で観測された。
最大高度の達した時期は昼間にも見えたという。
現在、ティコの超新星が出現した場所には、電波源・エックス線源が残っている。
SN 1572
超新星にはSNで始まる番号が着く。
番号はその超新星が出現した西暦だ。
ティコの新星は、1572年に出現した超新星なのでSN 1572という名称が与えられている。
現代の研究では、ティコの超新星は、Ia型であったと考えられている。
Ia型の超新星は、白色矮星と主系列星、または赤色巨星の連星系で発生する。
主系列星のガスが白色矮星に流入する。
このガスは白色矮星に降り積もるが、限界まで降り積もると耐え切れず、白色矮星の中心部で核反応が起こって爆発する。
これがIa型超新星だ。
この爆発によって白色矮星は跡形もなく吹き飛んでしまう。
超新星の爆発は、それほど強烈なのである。
爆発する直前の限界をチャンドラセカール限界という。
Ia型の超新星は目立った残骸を残さない。
ティコの超新星の残骸も、目立たない存在であるが、すでに撮影されている。
超新星の爆発で、白色矮星は吹き飛ぶが、伴星は何とか残る。
ハッブル宇宙望遠鏡が、ティコの超新星の伴星(正確には元伴星)を撮影した。(写真の右)
写真の左は超新星残骸である。
ティコの超新星の伴星
出展:HubbleSite
このハッブルの観測は、Ia型超新星は連星系で発生するという仮説を補強する証拠となっている。
カシオペア座Aとティコの新星
カシオペヤ座にある強力な電波源をカシオペア座Aという。
以前、カシオペア座Aはティコの新星の残骸と考えられてきた。
現在では、カシオペア座Aはティコの新星とは別の超新星の残骸であることが確認されている。
カシオペア座Aの観測により、元になった超新星爆発は1667年前後と見積もられている。
しかし、該当する超新星の出現記録は存在していない。
ティコ・ブラーエとは何者なのか
ティコ・ブラーエは16世紀に活躍したデンマークの天文学者である。
天体望遠鏡が開発される以前の時代でりながら、極めて高い精度で天体の位置を観測した。
当時は、天動説対地動説の論争が始まりかけた時代である。
ティコ・ブラーエは、最高の精度で観測しても年周視差が検出されないことから天動説を支持していた。
ティコ・ブラーエの死後、弟子のケプラーによって火星の観測データが解析され惑星の運動の3法則が発見された。
この法則をケプラーの法則という。
ティコ・ブラーエの死因には謎が残っている。
ティコ・ブラーエは、ケプラーによって毒殺されたという俗説があるが、真相は判っていない。
スポンサーリンク
参考文献・サイト
2008/02/09
2009/02/26