ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A

トップページ天文宇宙のQ&Aビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A011

ダークマターの正体は?

ダークマターは通常の物質の5〜6倍もあるのに、その正体は謎に包まれたままです。
ダークマターの正体を暗い小型の天体(MACHO:マッチョ)だとする考えと、未発見の素粒子(WIMP:ウィンプ)だとする説があります。



否定されたMACHO

以前、ダークマターの正体は暗くて小さい星ではないかと考えられ、具体的には白色矮星中性子星褐色矮星、小型のブラックホールが候補でした。
これらの天体をまとめてMACHO(Massive Compact Halo Object)と呼びます。
これらは、暗いため光で見ることが難しい天体なので、なかなか観測にかかりません。



MACHOが銀河系の周囲を取り囲んでいるなら、それらは時々恒星の手前を横切るはずです。
そして、そのとき重力レンズの影響で星の明るさが変化する様子が観測されることでしょう。
したがってMACHOの存在を確認するためには、恒星の明るさを常時調べていればいいのです。



しかし、それは恒星とMACHOと地球が一直線に並ぶタイミングでなければ観測できません。
そんなことは頻繁に起こることではないでしょう。
そこで、星の大集団である大マゼンラン雲を観測することにしました。



大マゼンラン雲銀河系の伴銀河です。南天にあるため日本から見ることができません。
航海者フェルディナンド・マゼランが航海日誌に記録したことから、この名前が付きました。太陽系から16万光年離れています。



1987年には超新星が出現し、カミオカンデでニュートリノが検出されました。
超新星爆発に伴うニュートリノの観測はこれが初めてのことでした。



一つの恒星の手前をMACHOが通過することはなかなか観測できませんが、大マゼンラン雲に含まれる1000万個の恒星を監視すれば、MACHOが手前を横切るチャンスも多くなるでしょう。
この方法によって数個の恒星の光量の変化が観測されました。つまり、MACHOが恒星の全面を横切ったのです。
しかし、この観測結果から想定されるMACHOの量では、ダークマターを説明しきれないため、現在ではMACHOがダークマターの正体だとは考えられていません。



最有力のWIMP

ダークマターの正体がMACHOでないとすると、次に考えられるのがWIMPです。
ダークマターについて分かっていることは、質量が大きく(重いということ)、安定して存在でき(破壊や消滅がない)、電磁波と反応しない(見えない、電波で観測できない)、電荷を持っていないということです。



このような物質は、知られていないため、未発見の素粒子であるニュートラリーノやアクシオンがダークマターの正体だと考えられています。
このような素粒子をWIMP(Weakly Interacting Massive Particle)といいます。



「筋肉ムキムキの男性」を示すMACHOに対し、WIMPは「弱虫」を意味する言葉です。



ダークマターは他の物質と反応せず、電磁波でも見えません。
このためダークマターをつかまえるのは至難の技です。
このような困難をものともせず、ダークマターを検出する計画が、様々な研究機関で進行中です。

このページのTOPへ




スポンサーリンク

参考文献・サイト

Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes

2012/07/31



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト