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中性子星を語る。

トップページ銀河系の目次恒星の進化中性子星

中性子星とは、ほとんど中性子のみで出来た天体だ。
超新星が爆発することによって誕生する。




中性子星とは

物質と原子の関係は?

原子とは物質を構成する粒子である。
原子の中心には、陽子と中性子から出来た原子核があり、その周囲を電子が回っている。



世の中には、様々な種類の物質がある。
しかし、どんなに物質の種類が多くてもその究極は原子である。
どのような物質でも、陽子・中性子・電子が含まれていることになる。
(ただし、水素分子には中性子が含まれていない場合が多い)



ところが、宇宙は広い。
宇宙には、ほとんど中性子のみから出来ている天体がある。
この星を中性子星という。




中性子だらけの星

中性子星は、中性子だらけである。
ほとんど中性子だけで作られた星なのだ。



これは奇妙な話だ。
他の物質には、当然のように含まれている陽子&電子がないのなら、
いったい中性子星を作っている原子はどうなっているのだろう。



恒星は通常の物質である。
太陽も、シリウスも、北極星も星は物質でできているので、それらには陽子、中性子、電子が含まれていることになる。



だが、中性子星は中性子オンリーで陽子や電子は、ほとんど含まない。
しかもこの星の中は密度が高いため、中性子がギュウギュウに詰まっている。

まるで星全体が1個の原子核なのだ。
しかも中性子だけで作られた原子核なのである。





中性子星の構造

中性子星は、こうして生まれる

質量の大きな恒星は、最後に超新星として爆発する。

中心部に中性子星がある
M1(かに星雲):中心部には中性子星がある。
出展:ESA HUBBLE



この爆発で、外側のガスは吹き飛び、中心核だけが残る。

残った中心核が中性子星だ。



かに星雲(M1)がこの例だ。

超新星爆発で吹き飛んだガスが不規則な形に広がり、その中心には中性子星が残っている。



核融合反応の燃えカスが恒星の中心部にたまり、圧力が高まるとその中の陽子が電子を捕獲して中性子になってしまう。
つまり、重たい恒星の中心部では中性子ばかりになってしまうのだ。
電子が無くなった分、恒星を中心から支える力が減るので、恒星全体が突然縮小する。



電子や中性子は接近すると、お互いに退けあおうとする。
この作用を縮退圧という。
電子による縮退圧がなくなったので、ブレーキが利かなくなって恒星全体が縮小するのだ。



このときの衝撃は凄まじい。
この衝撃によって星全体が吹き飛んでしまうのだ。
これが超新星である。



星が吹き飛ぶと、中心には中性子のみからなる天体がポツンと残る。
これが中性子星である。




高速自転の中性子星

主系列星は、自重で縮小しようとする力と、核融合で膨張しようとする力がバランスしていた。
中性子星では自重で縮小しようとする力と、中性子の縮退圧がバランスしているのである。



回転している物体の回転半径が小さくなると、回転スピードが速くなる。
これを角運動量保存の法則という。
回転中の物体が突然縮むと、回転スピードがアップすると思えばいい。



自転している星が、突然小さくなれば、角運動量保存の法則のよって自転のスピードはアップする。
中性子星がまさにコレで、自転周期は1/100秒と高速である。




パルサー

中性子星の持つ磁場は強い。
このような中性子星が高速で自転することによって、周囲の荷電粒子が加速され進路が曲げられる。
このため、シンクロトロン放射によって電磁波が放たれる。



地球上の観測者は、中性子星の磁極が地球の方を向いたときにその電磁波をキャッチする。
これがパルサーである。



中性子星も回転が遅くなれば、電波を放射しなくなる。
つまりパルサーでなくなるのだ。



このことから、「すべての中性子星がパルサーではない」ということが分かる。
「中性子星」=「パルサー」という説明を時々見かけるがこれは誤りである。



また、パルサーだからと言って中性子星だとは限らない。
白色矮星のパルサーもある。





中性子星のその他のウンチク

ガンマ線バーストの正体は中性子星か?

ガンマ線バーストとは、宇宙のある一点から突如として、大量のガンマ線が瞬時に放射される天文現象のことだ。
発見以来30年以上経過したが謎が多く、出現のメカニズムも分かっていない。



中性子星同士の衝突によってガンマ線バーストが引き起こされるという仮説がある。



二つの中性子星が連星となっている場合、2つの中性子星は放射によってエネルギーを失いだんだんと軌道が小さくなっていく。
つまり少しずつ接近していくのだ。

最後に、2つの中性子星は衝突を起こすが、このときに一機に放出されるエネルギーがガンマ線バーストになるのである。




最古の惑星と中性子星

さそり座球状星団M4の内部には、中性子星と白色矮星で構成される連星がある。


この連星系の周囲には木星質量の2.5倍の惑星が公転していることが確認された。
今まで観測された太陽系外惑星の中で、最古の惑星である。





中性子星のFAQ

中性子とは何ですか?

原子核をつくる素粒子の種類で電荷はありません。
電気的に中性なので中性子といいます。
陽子とほとんど同じ重さ(質量)です。




中性子星とはどのような星ですか?

星全体の大部分が中性子でできた天体です。




中性子星はどのように生まれるのですか?

超新星の爆発に伴って生まれます。
しかし、超新星爆発が起これば、いつも中性子星が誕生するのではありません。
Ia型の超新星爆発では生まれません。
Ib型、Ic型、II型の超新星であっても、元々の質量が大きいとブラックホールになってしまいます。




中性子星は100%中性子のみなのですか?

厳密には違います。
中性子星の表面は原子核と電子で構成されています。
中心に近いほど原子核や電子の数は減り、中性子が増えていきます。

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参考文献・サイト

A Pulsar Discovery
NASA Sees Hidden Structure Of Neutron Star In Starquake

2007/05/19
2008/01/27



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