さそり座を語る。
さそり座は、夏の星座である。
黄道十二星座の一つで、てんびん座といて座の間にある。
黄道とは太陽が一年かけてたどるルートのことだ。
黄道上にある12の星座が黄道十二星座である。
さそり座には黄道が通っている。
おおよそ11月21日から11月29日にかけて、太陽はさそり座の領域を通過する。
この時、さそり座は太陽の背後(昼間の空)にあるので見ることができない。
太陽がさそり座の通過に要する期間は約8日間だ。
これは黄道十二星座の中で最も短い期間である。
反対に太陽の通過に最も期間を要する星座はおとめ座で、45日間である。
さそり座は、オリオンを倒した巨大サソリに由来する星座である。
明るい恒星が、大きくS字状に配列した形が特徴だ。
さそり座の起源は古い。
トレミーの48星座にもなっている。
トレミー48星座は、2世紀以来使われてきた。
しかし、18世紀に、トレミー48星座の中のアルゴ座がラカイユによって分割された。
さそり座を含む残りの47星座は、すべて現在の88星座に引き継がれている。
さそり座の主な恒星
アンタレス[α Sco]
α星は赤色巨星のアンタレスである。
アンタレスは「火星に対抗するもの」という意味がある。
太陽系から約600光年離れている。
M型のアンタレスAとB型のアンタレスBの連星である。
[..さらに詳しく見る..]
さそり座β [β Sco]
さそり座β星は、アクラブという固有名で呼ばれることもある。
5重の連星系である。
さそり座δ [δ Sco]
さそり座δ星は、ジュバという固有名で呼ばれることもある。
爆発変光星である。
さそり座δ星は、二つの伴星を持つことが確認されている。
そろぞれの公転周期は20日、10年である。
さそり座λ [λ Sco]
さそり座λは、B型の恒星でシャウラという固有名で呼ばれることもある。
シャウラには、「毒針」の意味がある。
さそり座λは、アンタレスに次いで、さそり座で2番目に明るい恒星である。
さそり座λは、5重星である。
B型スペクトルの主星をA、15等の伴星をB、12等の伴星をCという。
さらに、主星Aの周囲に、1053日で公転するB型星、および6日で公転する前主系列星が確認されている。
Aと、BおよびCが連星系を形成しているかどうかは不明である。
主星Aは脈動変光星であるが、変光範囲が狭いため眼視観測で捕捉するのは無理である。
さそり座θ [θ Sco]
さそり座θはF型の巨星でサルガスという固有名も持つ。
さそり座で3番目に明るい恒星である。
直径は太陽の20倍もある。
さそり座の主な星雲・星団
M4
M4は さそり座の球状星団である。
個々の星を分解することができた最初の球状星団でもある。
M4までの距離は7200光年と考えられてるが、これは球状星団としては非常に近い。
太陽系に最も近い球状星団ではないかと考えられている。
M4の中で、銀河系最古の白色矮星が発見されている。(年齢:120〜130億年)
[..さらに詳しく見る..]
M6
M6は さそり座の散開星団である。
M6は満月の3分の2程度の広がりを持つ。
λ星からたどると見つけやすい。
[..さらに詳しく見る..]
M7
M7は さそり座の散開星団である。
紀元前130年にトレミーが星雲として記録している。
メシエ天体の中で、最南の天体である。
ギオバーニによる観測(1654年)では30個の星が数えられている。
M7に含まれる恒星は非常に若く2億2000万歳と考えられている。
[..さらに詳しく見る..]
M80
M80は さそり座の球状星団である。
1860年に、M80の内部に新星が出現した。
[..さらに詳しく見る..]
NGC6302
NGC6302は、さそり座の惑星状星雲である。
出典
APOD:NGC 6302: The Butterfly Nebula
二極性の惑星状星雲で蝶がハネを広げたような形をしていることからバタフライ星雲とも呼ばれている。
中心星の表面温度は20万度もあり、極めて高温の星である。
NGC6334
NGC6334は、さそり座の散光星雲(輝線星雲)である。
その形から、猫のツメ星雲、熊のツメ星雲と呼ばれている。
さそり座のその他の天体
さそり座X-1[Sco X-1]
さそり座X-1は、1962年に発見されたX線源である。
太陽以外で最も強力なX線源だ。
太陽系から9000光年の距離にある低質量のエックス線連星で、中性子星とその周囲を回る伴星から構成される。
伴星の物質が中性子星に流入するとき、降着円盤を作り、摩擦で加熱されX線を放射する。
さそり座X-1の発見者ジャッコーニは、2002年にノーベル賞を受賞した。
さそり座RR [RR Sco]
ミラ型の変光星で、M62のすぐ南側にある。
さそり座U [U Sco]
反復新星である。
いままで、1863年5月、1906年5月、1936年6月、1979年6月、1987年5月、1999年2月の増光が確認されている。
さそり座V1280 [V1280 Sco]
2007年2月4日に発見された新星である。
超新星残骸 RX J1713.7-3946
西暦393年に出現した超新星の残骸である。
太陽系から3000光年の距離にあると推定されている。
エックス線天文衛星チャンドラの観測によって1年程度の短期間でX線強度が変動することが確認された。
これは、粒子が短期間で高速に加速されていることを意味している。
また、エックス線天文衛星すざくからエックス線のスペクトルとあわせて、超新星残骸が銀河宇宙線の起源であることが解明された。
スポンサーリンク
参考文献・サイト
Constellations
Star Tales
JAXA:宇宙の異邦人 さそり座X-1
Chandra X-ray Observatory
Chandra X-ray Observatory:The Story of SCO X1
BBC:Constellations
国立天文台 アストロ・トピックス (270)
Professor Jim Kaler
ISAS
Wikipedia:Zodiac
2008/05/04
2009/10/27