てんびん座を語る。
てんびん座は、夏の星座である。
黄道十二星座の一つで、おとめ座と さそり座の間にある。
黄道とは太陽が一年かけてたどるルートのことだ。
てんびん座には黄道が通っており、おおよそ10月31日から11月21日にかけて、太陽はてんびん座の領域を通過する。
この時期てんびん座は昼間の空にあるので見ることができない。
てんびん座は、正義の女神アストレイアが持つ正義を測る天秤に由来する星座だ。
アストレイア自身はおとめ座となっている。
てんびん座は、かつて さそり座の一部であった。
その名残として、てんびん座のα星には「南のツメ」、β星には「北のツメ」という意味がある。
現在の境界線で星座の面積を比較すると、てんびん座は538平方度、さそり座は497平方度である。
さそり座の一部だったにしては、てんびん座の方が約8%広い。
てんびん座は、トレミーの48星座の一つでもある。
トレミー48星座は、2世紀以来使われてきた。
しかし、18世紀に、トレミー48星座の中のアルゴ座がラカイユによって分割された。
てんびん座を含む残りの47星座は、すべて現在の88星座に引き継がれている。
てんびん座を除く黄道十二星座は、すべて動物や伝説上の人物である。
てんびん座は、黄道十二星座で唯一つ、生命体以外を表現した星座なのである。
(みずがめ座は水瓶ではなく、水瓶を持つ人物を表現している)
紀元前1200年ごろ、この星座の付近に秋分点があった。
そのため、太陽がここに来ると、昼と夜の長さが等しくなった。
ここから、天秤を連想してんびん座が作られたという説もある。
てんびん座の主な恒星
てんびん座α [α Lib]
てんびん座αはズベン・エル・ゲヌビとも呼ばれている。
「南の爪」という意味だ。
β星よりも暗い。
この星は、肉眼で分離できる二重星である。
てんびん座β [β Lib]
てんびん座βはてんびん座で最も明るい恒星である。
ズベン・エス・カマリとも呼ばれている。
「北の爪」という意味がある。
この星は現在、2.6等である。
紀元前のエラトステネスは、この星をアンタレスよりも明るいと記録している。
その350年後のトレミー(プトレマイオス)は、アンタレスと同等の明るさと記録した。
2000年以上の時間を経てこの星は現在の明るさまで減光したのかもしれないが、原因は分かっていない。
てんびん座γ [γ Lib]
てんびん座γは ズベン・エル・アカラブとも呼ばれている。
「サソリの爪」という意味がある。
連星系の可能性が報告されている。
太陽系から150光年だ。
てんびん座の主な星雲・星団
てんびん座にはメシエ天体は含まれていない。
NGC5897
てんびん座の球状星団NGC 5897
出展:SEDS:NGC 5897
ウイリアム・ハーシェルによって1784年に発見された。
NGC5595
NGC5595は銀河系外星雲である。
NGC5792
NGC5792は銀河系外星雲である。
てんびん座の銀河系外星雲NGC5792
出展:NOAO:NGC 5792
NGC5728
NGC5728は銀河系外星雲である。
活動銀河に分類される。
NGC5861
NGC5861は銀河系外星雲である。
NGC5878
NGC5878は銀河系外星雲である。
NGC5885
NGC5885は銀河系外星雲である。
てんびん座の銀河系外星雲NGC5885
出展:SEDS:NGC 5885
てんびん座のその他の天体
てんびん座δ [δ Lib]
アルゴル型の食変光星である。
4.8等から5.9等の範囲で変光する。
この星は、バイエルによって「さそり座γ」と命名されていた。
19世紀になって、てんびん座δと改名した。
てんびん座GW [GW Lib]
てんびん座GWは矮新星である。
2007年4月、24年ぶりに増光した。
グリーゼ581 [Gl 581]
グリーゼ581は赤色矮星である。
少なくとも4つの太陽系外惑星を持っている。
その中の一つグリーゼ 581 cは、地球型の惑星と考えられている。
質量は地球の5倍だ。
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参考文献・サイト
Constellations
Star Tales
BBC:Constellations
AAVSO:Outburst of GW Lib
Major Discovery: New Planet Could Harbor Water and Life
2008/05/06
2009/10/24
2010/06/07