みずがめ座を語る。
みずがめ座は、秋の星座である。
黄道十二星座の一つで、やぎ座と うお座の間にある。
黄道とは太陽が一年かけてたどるルートのことだ。
黄道上にある12の星座が黄道十二星座である。
みずがめ座には黄道が通っており、おおよそ2月17日から3月13日にかけて、太陽はみずがめ座の領域を通過する。
この時期みずがめ座は太陽の背後(昼間の空)にあるので見ることができない。
みずがめ座は、水がめを持つ、ガニメデの姿を現した星座である。
星座絵では、この水がめから流れ出した水が、そのままエリダヌス川(エリダヌス座)の水源になっている。
水がめ座とエリダヌス座の関係は星座絵の図案だけの関連であって、神話上の繋がりはないようだ。
水がめを持つガニメデに由来するのであれば、「水がめ座」ではなく「ガニメデ座」と呼ぶほうが素直が気がしてならない。
みずがめ座は、トレミーの48星座でもある。
トレミー48星座は、2世紀以来使われてきた。
しかし、18世紀に、トレミー48星座の中のアルゴ座がラカイユによって分割された。
みずがめ座を含む残りの47星座は、すべて現在の88星座に引き継がれている。
みずがめ座の恒星
みずがめ座β [β Aqr]
みずがめ座βは サダルスウドという固有名を持つ。
サダルスウドには、アラビア語で「最高の幸運」という意味がある。
みずがめ座で最も明るい恒星である。
みずがめ座α [α Aqr]
みずがめ座αは サダルメリクという固有名を持つ。
サダルメリクには、アラビア語で「王の幸運」という意味がある。
みずがめ座で二番目に明るい恒星である。
太陽系から約800光年の距離にある。
直径は太陽の60倍、表面の明るさは3000倍もある。
みずがめ座δ [δ Aqr]
みずがめ座δは スカトという固有名を持つ。
スカトには、アラビア語で「足」という意味がある。
みずがめ座で3番目に明るい恒星である。
おおくま座運動星群のメンバーと考えられている。
みずがめ座の主な星雲・星団
M2
みずがめ座の球状星団M2
出展:Globular Cluster M2
M2は、1746年に彗星観測中のジャン・ドミニク・マラルディによって発見され、これとは独立に1760年にシャルル・メシエによって再発見された経緯を持つ。
15万個の恒星を含み、実直径は175光年もある。
太陽系からの距離は3万7500光年である。
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M72
M72は、みずがめ座の球状星団である。やぎ座との境界付近にある。
みずがめ座の球状星団M72
出展:M72: A Globular Cluster of Stars
本来、明るい球状星団であるが、5万光年以上の遠方にあるため、10等級程度しかない。
M72内部に、42個の変光星が確認されており、その大部分はこと座RR型変光星である。
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M73
みずがめ座の星群M73
出展:NOAO:M73, NGC6994
M73は、星々が散ってしまった古い散開星団ではないかという論争もあった。
しかし、M73を構成する個々の星がバラバラの方向に運動していることから、単なる星群と判断された。
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NGC7009
NGC7009は、みずがめ座の惑星状星雲である。
ウィリアム・ハーシェルが1782年に発見した。
土星のように見えることからロス卿によって土星状星雲と命名された。
土星状星雲までの距離は分かっていない。
2400光年、3900光年などの諸説がある。
NGC7293
NGC7293は、惑星状星雲である。
ハーディングが1824年ごろに発見した。
この惑星状星雲は1万1000年前から広がっていると考えられている。
らせん状星雲までの距離は約700光年と見積もられている。
惑星状星雲としては、比較的近距離にある。
みずがめ座の流星群
みずがめ座η群
5月5日から6日にかけて極大を迎える。
速い流星で痕を残す。
みずがめ座δ群
7月28日ごろ極大を迎える。
輻射点が二つあるらしい。
おひつじ座流星群と母天体が同一という説がある。
みずがめ座のその他の天体
みずがめ座 [R Aqr]
白色矮星と赤色巨星の連星系である。
赤色巨星は387日周期で変光するミラ型の変光星でもある。
白色矮星は重力によって赤色巨星からガスを引き寄せる。
このガスが一定量を超えると、白色矮星から一気に噴出して星雲状になる。
1932年から1934年の間、まったく変光せず、9等に留まったままだった。
グリーゼ876
3つの惑星を持つ赤色矮星である。
二つは木星型、残りの一つは地球型または天王星型である。
太陽系から15光年先にある。
みずがめ座AE [AE Aqr]
パルサーは中性子星と相場が決まっていたが、白色矮星のパルサーも発見されている。
エックス線天文衛星「すざく」により、みずがめ座AEがX線のパルスを放っていることが確認されている。
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参考文献・サイト
Constellations
Star Tales
BBC:Constellations
Chandra X-ray Observatory
AAVSO:R Aquarii: First and Foremost
Wikipedia:Zodiac
2008/05/04
2009/09/24