失われた星座を語る。
廃止された星座
星座は紀元前に発祥して以来、様々な時代で多くの天文学者が新たな星座を追加してきた。
このため多数の星座が乱立した。
20世紀になると、国際天文学連合が第三回総会で星座を整理し88星座として制定した。
この過程で、複数の星座が廃止された。
ここでは、一度は考案・設定されながら、廃止され現存しない星座を解説する。
アルゴ座
アルゴ座は、トレミーの48星座の一つである。
「アルゴ」はギリシア神話に登場する船の名に由来する。
アルゴ座は、非常に巨大な星座であったため、18世紀にラカイユによってラカイユによってほ座・とも座・りゅうこつ座・らしんばん座に分割された。
国際天文学連合[IAU]の第三回総会で全天の星座が正式決定された。
このとき、アルゴ座は採用されず、ラカイユの4星座が承認された。
この総会で、トレミーの48星座のうち、アルゴ座以外の47星座すべてが現在の88星座に採用された。
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アンティノウス座
ローマ皇帝ハドリアヌスが、寵愛していたアンティノウスの死を悼んで作った星座である。
その後、ケプラーがアンティノウス座を復活させたが、88星座には採用されなかった。
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いんさつしつ座
いんさつしつ座は、ラランドとヨハン・ボーデがおおいぬ座の東側に作った星座である。
「いんさつしつ」とは印刷室を意味している。
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おうしゃく座
「おうしゃく」とは「王杓」のことである。
オギュスタン・ロワーエが設定した。
現在では廃止されている。
おおぐも座
「おおぐも」とは「大雲」のことである。
ボーデが大マゼラン星雲を星座に見立てた星座がおおぐも座である。
かんししゃメシエ座
「かんししゃ」とは監視者のことである。
ラランドがきりん座、カシオペヤ座、ケフェウス座の間に作った星座である。
シャルル・メシエの姿を表している。
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きたばえ座
「きたばえ」とは「北蝿」の意味である。
ヤコブス・バルチウスが設定した。
1822年に作成されたジェミーソンの星図で描かれた星座で、おひつじ座とペルセウス座の間にあった。
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けいききゅう座
「けいききゅう」とは「軽気球」のことである。
軽気球での初の有人飛行(1783年)を記念して、ラランドが設定した。
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国際天文学連合[IAU]の第三回総会で全天の星座が正式決定された。
このとき、けいききゅう座は星座として採用されなかったため、現在の88星座には含まれていない。
けいききゅう座の領域はけんびきょう座の一部になった。
ケルベルス座
ヘベリウスが設定した星座である。
ヘラクレス座の星座絵を見ると、ヘビのからまった枝を手にしている。
この「ヘビのからまった枝」がケルベルス座の部分である。
通常、ケルベロスは、3つの頭を持つ地獄の番犬である。
ここでは、3つの頭を持つヘビとして描かれている。
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こぐも座
「こぐも」とは「小雲」のことである。
ボーデが小マゼラン星雲を星座に見立てた星座がこぐも座である。
しぶんぎ座
「しぶんぎ」とは天体の位置を測定する器具「四分儀」のことである。
しぶんぎ座は、18世紀にラランドが設定した。
国際天文学連合[IAU]の第三回総会で全天の星座が正式決定された。
このとき、しぶんぎ座は採用されず、しぶんぎ座の領域はりゅう座の一部になった。
りゅう座流星群の輻射点は、しぶんぎ座の領域にある。
このため、りゅう座流星群は、現代でもしぶんぎ座流星群と呼ばれている。
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しょうさんかく座
しょうさんかく座はヘベリウスが設定した星座である。
「しょうさんかく」とは「小三角」のことである。
さんかく座のすぐ隣に作られた。
ジョージのこと座
イギリス国王ジョージ2世を記念するための星座である。
今では、エリダヌス座、おうし座、くじら座になっている。
そくていさく座
「そくていさく」とは「測定索」のことで、船舶の速度を測定するために、船尾から海上に流す道具である。
ボーデが作ったがまったく普及しなかった。
現在のらしんばん座の領域にあった。
チャールズのかしのき座
清教徒革命中、クロムウェル軍の追撃をかわすためにチャールズ皇太子が身を隠した樫の木(ロイヤル・オーク)に由来した星座である。
現在のりゅうこつ座の領域にあった。
つぐみ座
金星の日面通過を観測するためのロドリゲス島への遠征が行われた。
それを記念して、ルモニエが設定した星座である。
チグリス座
チグリス川を描いた星座である。
17世紀にヤコブス・バルチウスが設定した星座で、へびつかい座、はくちょう座、わし座を通りこぎつね座に達する。
まったくと言っていいほど普及しなかった。
でんききかい座
でんききかい座は、ライデン瓶を描いた星座である。
18世紀末にボーデによって、ろ座とちょうこくしつ座の間に設定されたが、あまり普及しなかった。
トナカイ座
ルモニエが18世紀に設定した星座である。
ラップランドへの測量遠征時に、現地で目撃したトナカイを描いている。
きりん座とカシオペヤ座の間にあった。
ねこ座
ねこ座はラランドが設定した星座である。
ラランドが1805年に発行した星図の中で登場した。
この星座は、うみへび座とポンプ座の中間にあったが、現在は使用されていない。
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ハーシェルのぼうえんきょう座
ウィリアム・ハーシェルが作成した反射望遠鏡を描いた星座である。
1781年にマクシミリアン・ヘルが設定した。
ふたご座、やまねこ座、ぎょしゃ座の間にあったが、現在は使用されていない。
ひどけい座
とけい座、かじき座、みずへび座の間に作られた星座である。
設定者が不明のままいくつかの星図に描かれている。
19世紀前期に作られたらしい。
ふくろう座
ジェミーソンが、うみへび座とてんびん座の間に設定した星座である。
つぐみ座と同一のエリアに作られたが関連はない。
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ブランデンブルグのおうしゃく座
1688年にキルヒが、フリードリヒ1世の即位を記念して設定した星座である。
うさぎ座とエリダヌス座の一部に相当する。
フリードリヒのえいよ座
プロイセンのフリードリヒ大王を称えるために作られた星座である。
王冠、オリーブの枝、短剣などが描かれている。
ヨハン・ボーデが設定したが普及しなかった。
ケフェウス座、アンドロメダ座、カシオペヤ座、はくちょう座の間にあった。 [..さらに詳しく見る..]
へきめんしぶんぎ座
へきめんしぶんぎ座は、しぶんぎ座の別名である。
しぶんぎ座は現在、りゅう座の一部になっている。
ポニアトフスキーのおうし座
V字型に並んだ星の配列がおうし座のヒアデス星団に似ていることから、作られた星座である。
ポニアトフスキーとは、ポーランドの国王の名に由来する。
マエナルスさん座
ギリシャ南部のマエナルス山を描いた星座である。
ヘベリウスが、うしかい座とおとめ座の間に設定した。
ゆり座
ブルボン王朝の紋章であるユリの花を描いた星座である。
パルディスによって、おひつじ座とさんかく座の間に設定された。
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ヨルダン座
ヨルダン川をイメージした星座で、おおぐま座を回りこむように流れている。1612年にペトルス・プランシウスが作った天球儀に描かれたのが最初である。 [..さらに詳しく見る..]
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参考文献・サイト
Obsolete Constellations
Star Tales:Obsolete Constellations
2008/06/11
2009/03/08