ちょうこくしつ座を語る。
ちょうこくしつ座は、秋の星座である。
「ちょうこくしつ」とは「彫刻室」の意味である。
ちょうこくしつ座は、みずがめ座とくじら座の南側にある。
南に低いため、日本からは非常に見にくい。
1751年から52年にかけてラカイユは、喜望峰に滞在し南天の恒星や星雲・星団を観測した。
このときラカイユは14の星座を新設したのだ。
ラカイユが星図の中で彫刻道具と彫像を表現した。(1756年)
1763年にこの星図がラテン語に訳され、さらに短縮されて「ちょうこくしつ座」になったのだ。
このことから、ちょうこくしつ座の設定者はラカイユとなっている。
ちょうこくしつ座の星は皆、4等級以下である。
しかもこれらの星には固有名もない。
ちょうこくしつ座には、神話もないためマイナーな存在である。
銀河系の南極は、ちょうこくしつ座にある。
ちょうこくしつ座の主な恒星
ちょうこくしつ座α [α Scl]
ちょうこくしつ座αは太陽系から680光年離れたB型の恒星である。
0.01の範囲で変光する。
ちょうこくしつ座β [β Scl]
ちょうこくしつ座βは太陽系から178光年離れたB型の恒星である。
ちょうこくしつ座銀河群
銀河は、宇宙に均一に分布しているのではない。
銀河は単独では存在せず、グループを形成している。
このグループを銀河群という。
15個ほどの銀河から構成される銀河群がちょうこくしつ座にある。
この銀河群をちょうこくしつ座銀河群という。
我々の銀河から1000万光年離れている。
ちょうこくしつ座銀河群の中で、最大の銀河がNGC253だ。
NGC253はちょうこくしつ座銀河とも呼ばれている。
ちょうこくしつ座の星雲・星団
ちょうこくしつ座にはメシエ天体がない。
いくつかのNGC天体がある。
NGC55
NGC55は銀河系から600万光年離れた ちょうこくしつ座の銀河系外星雲である。
ちょうこくしつ座の銀河系外星雲NGC55
出展:Irregular Galaxy NGC 55
不規則銀河に分類される。
5万光年ほどのサイズだ。
NGC55は ちょうこくしつ座銀河群のメンバーである。
ちょうこくしつ座とほうおう座の境界線近くにある。
NGC253
NGC253は ちょうこくしつ座の銀河系外星雲である。
ちょうこくしつ座の銀河系外星雲NGC253
出展:NGC 253: Dusty Island Universe
NGC253は ちょうこくしつ座銀河群の中心となる銀河でちょうこくしつ座銀河とも呼ばれている。
7万光年のサイズでチリを多く含んでいる。
NGC7793
NGC7793は ちょうこくしつ座の銀河系外星雲である。
NGC7793は ちょうこくしつ座銀河群のメンバーである。
NGC 288
NGC288は太陽系から2万8700光年離れた球状星団である。
ちょうこくしつ座の球状星団NGC 288
出展:Digital Sky Survey image of NGC 288
ウイリアムハーシェルによって1785年に発見された。
NGC 613
NGC 613は銀河系から6500万光年離れた棒渦巻き銀河だ。
ちょうこくしつ座の銀河系外星雲NGC613
出展:NGC 613: Spiral of Dust and Stars
直径10万光年である。
ちょうこくしつ座銀河団には含まれていない。
NGC 300
ちょうこくしつ座の銀河系外星雲NGC300
出展:Spiral Galaxy NGC 300
NGC300は ちょうこくしつ座銀河群のメンバーである。
IC 5332
IC 5332は銀河系から2500万光年離れた渦巻き銀河だ。
ちょうこくしつ座の銀河系外星雲IC 5332
出展:AAO:IC 5332, a faint, face-on spiral galaxy
ESO 350-40
ESO 350-40は銀河系から4億光年離れたスターバースト銀河だ。
ESO 349-G31
ちょうこくしつ座のその他の天体
HD4208
8等級の恒星で、太陽よりもわずかに暗い。
この星から1.67天文単位の距離を公転している木星より少し小さめの惑星が、2001年に発見された。
HD4208のハビタブルゾーンは0.43〜1.35天文単位の範囲なので、この惑星に水があったとしても凍っている。
RG0050-2722
褐色矮星は小さいが、その中でも特に小さい褐色矮星である。
太陽質量の0.02から0.03倍程度しかない。
木星の質量が太陽質量の0.01倍なので、この褐色矮星がいかに小さいかが分かる。
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参考文献・サイト
Constellations
Star Tales
The Sculptor Group of Galaxies
Extrasolar Planet Guide
BBC:Constellations
2008/05/26
2010/06/12