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へびつかい座を語る。

トップページ銀河系の目次星座88星座へびつかい座

へびつかい座は、夏の星座である。
神話に登場する名医アスクレピオスがヘビを持った姿を現した星座である。
全88星座中で、面積が11番目に広い星座である。



へびつかい座という名称から「ヘビを使ったパフォーマンスを見せる芸人の星座」を想像するが、そうではない。
へびつかい座は医師アスクレピオスなのだ。
へびつかい座が手にしているヘビがへび座になっている。

へびつかい座
出展:IAU




アスクレピオスはギリシア神話に登場する医師である。
ヘビが草を食べたことから、アスクレピオスは薬草の効果を知った。
後にアスクレピオスは名医となり、ヘビを自分の医療の原点と考え、ヘビが巻きついた杖を使用するようになった。


この神話がベースとなって、後世では「ヘビが巻きついた杖」を医療の象徴とする発想が生まれた。
例えば、世界保健機関[WHO]のシンボルマークは「ヘビが巻きついた杖」である。

出典:WHOのサイト(英語)



へびつかい座は、トレミー48星座のうちの1つでもある。
トレミー48星座は、2世紀以来使われてきた。



しかし、18世紀に、トレミー48星座の中のアルゴ座ラカイユによって分割された。
へびつかい座を含む残りの47星座は、すべて現在の88星座に引き継がれている。



太陽が通る天球上の見かけのルートを黄道(こうどう)という。
黄道沿いの星座は、古くから知られており黄道十二星座と呼ばれている。



黄道が横切っているにもかかわらず、へびつかい座は黄道十二星座に含まれていない。
黄道のへびつかい座の部分は、さそり座の部分よりも長い。




へびつかい座の位置と見つけ方

へびつかい座は、ヘルクレス座の南側、さそり座の北側にある。




へびつかい座の主な恒星

ラス・アルハゲ[α Oph]

アラビア語で「蛇使いの頭」という意味がある。白色の2等級である。



へびつかい座η [η Oph]

へびつかい座η星は、へびつかい座で2番目に明るい恒星である。
サビクという固有名で呼ばれる場合もある。
サビクには「先立つ者」という意味がある。

へびつかい座η星は、二つのA型星から構成される連星である。
長円軌道を高速で公転しているため、惑星系が作られることはないと考えられている。



へびつかい座δ [δ Oph]

へびつかい座δ星は、へびつかい座で4番目に明るい恒星である。
イェッド・プリオルという固有名で呼ばれる場合もある。
イェッド・プリオルには「前の手」という意味がある。

へびつかい座δ星は、太陽系から170光年の距離にあるM型の赤色巨星である。
へびつかい座δ星とε星は、たまたま同じ方向にあるだけの、見かけの重星である。



へびつかい座の主な星雲・星団

へびつかい座では、次の星団星雲が有名である。
へびつかい座のメシエ天体は全て球状星団である。

M9

M9は、へびつかい座の球状星団である。


銀河系の中心からM9までの距離は5500光年と考えられている。
球状星団の中では、銀河中心に近い部類に入る。
太陽系からの距離約2万5800光年。直径は約50光年である。
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M10

M10は、へびつかい座の球状星団である。


M10の直径は約50光年である。
太陽系から約1万4300光年離れている。
現在までに、M10内部で4個の変光星が発見されている。
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M12

M12は、へびつかい座の球状星団である。
密集度は低い。


M12は、M10の北西約3度にある。
太陽系からの距離は1600光年、実直径は75光年である。
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M14

M14は、へびつかい座の球状星団である。

10万個の恒星を含み、実直径は100光年である。
M14内部に70個の変光星が確認されている。


1938年にM14内に新星が出現したが、このときは気付かれなかった。
この新星は1964年に写真を調査して発見された。
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M19

M19は、へびつかい座の球状星団である。


銀河系の中心からM19までは5200光年しか離れていない。
M19の直径は140光年である。
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M62

M62は、へびつかい座の球状星団である。

M62の形は、ゆがんでいる。
これは、M62が銀河系の中心に近いため、引力の影響で球形を維持できなくなっているからだ。
M62と銀河系の中心は6100光年程度しか離れていない。


M62の内部では、89個の変光星が発見されている。
その大部分はこと座RR型変光星だ。
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M107

M107は、へびつかい座の球状星団である。
太陽系から2万光年離れている。
密集度は低い。
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NGC6356

NGC6356は球状星団である。


NGC6633

NGC6633は散開星団である。


IC4665

IC4665は散開星団である。


NGC6572

NGC6572は惑星状星雲である。


へびつかい座のその他の天体

バーナード星

太陽系に2番目に近い恒星である。
今まで観測されたなかで最大級の固有運動を持つ。
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へびつかい座RS星[RS Oph]

へびつかい座RS星は、反復新星である。
通常は12等級であるが、およそ20年毎に5等級程度まで増光する。
現在までに、1898年、1933年、1958年、1967年、1985年、2006年の増光が確認されている。



新星は、白色矮星恒星の連星系で発生する。
恒星のガスが白色矮星の表面に降り積もり、温度が1億度に達するとガスが核融合爆発して新星となる。



この爆発によってガスは吹き飛ぶが、白色矮星恒星もほぼ無傷で残る。
すると、再び白色矮星の表面に恒星からガスが降り積もり、新星爆発を繰り返す。
新星は、一回きりの現象ではなく、何度も繰り返すのである。



通常、新星爆発から次の新星爆発まで、数万年を要する。
このため、人間の歴史のスケールで、同一の天体が新星爆発を繰り返す現象を観測することは不可能だ。



ところが、中には、100年以下の期間で新星爆発を繰り返す新星もある。
これらを反復新星、または回帰新星という。
現在のところ、へびつかい座RS星は、増光時唯一肉眼で観測できる反復新星である。



SN 1604(ケプラー新星)

SN 1604は1604年に出現した超新星である。
ケプラーが詳細な記録を残したことから、ケプラー新星と呼ばれている。
「新星」というが、現代では新星ではなく超新星として分類されている。
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XTE J1739-285

クォーク星の候補である。
太陽系から3万9000光年の距離にある。





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参考文献・サイト

Constellations
Star Tales
Chandra X-ray Observatory
BBC:Constellations
国立天文台:アストロ・トピックス (186)
AAVSO:RS Oph

2008/05/12



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