散光星雲を語る。
散光星雲とは
宇宙空間には、ガスや塵が漂っている。
これらが、重力で集まり濃くなった部分がガス星雲だ。
ガス星雲の中で、ガスや塵が特に集まると、そこで恒星が生まれる。
通常、ガス星雲は見えない。
ところが、星が誕生すると、この星の光を受けて、ガス星雲が輝きだす。
これが散光星雲である。
ガス星雲が輝くメカニズムは、電離による発光と、反射の大きく2つある。
電離による発光する散光星雲を輝線星雲、反射で輝く散光星雲を反射星雲という。
つまり、輝線星雲と反射星雲の総称が散光星雲なのだ。
散光星雲 | 輝線星雲:電離で発光する |
反射星雲:反射で輝く |
元々、散光星雲には、輝線星雲と反射星雲の区別がなかった。
ハッブルが、両者を分離して考えたのである。
散光星雲はなぜ光るのか?
輝線星雲の場合
散光星雲のうち、輝線で発光するものが輝線星雲だ。
若い恒星が放つ紫外線は非常に強力である。
この紫外線の影響で周囲の星間ガスの原子はイオン化されてしまう。
その後、イオンは電子と再び結びつき原子に戻るが、このとき光を発する。
この光を輝線という。
星間ガスの大部分は水素だ。
水素が放つ輝線は赤い。
これが輝線星雲の光の色となる。
反射星雲の場合
散光星雲のうち、恒星の光を照り返しているものが反射星雲である。
恒星の放つ光が弱い場合、水素を電離できない。
そのため輝線で光ることができないのだ。
その代わり、恒星の光を反射して光輝く。
輝線星雲は電離に特有の波長で光るが、反射星雲は光源となった恒星の色を反映している。
散光星雲の範囲
輝線星雲と反射星雲で散光星雲とする考えが多いが、これとは異なる分類もある。
天文年鑑による散光星雲
例えば天文年鑑では、輝線星雲(HII領域)、反射星雲、超新星残骸を散光星雲としている。
散光星雲 | 輝線星雲 |
反射星雲 | |
超新星残骸 |
理科年表による散光星雲
理科年表による散光星雲の定義はスタンダードだ。
輝線星雲と反射星雲で散光星雲としている。
散光星雲 | 輝線星雲 |
反射星雲 |
その以外の散光星雲
散光星雲の例
M8 / 干潟星雲
M8はいて座の散光星雲である。
干潟星雲とも呼ばれている。
暗黒星雲が集中した部分は、グロビュールと呼ばれている。
やがて原始星へと発展してく部分だ。
この散光星雲までの距離は、4850光年から6500光年と見積もられている。
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M20 / 三裂星雲
手前にある暗黒星雲によって、散光星雲が三つに分裂しているように見える。
このことからM20は三裂星雲とも呼ばれている。
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M42 / オリオン大星雲
オリオン大星雲
出展:NAOA:M42/M43, NGC1976, Orion Nebula
この星雲の中心付近には、トラペジウムと呼ばれる4重星がある。
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NGC1499 / カリフォルニア星雲
カリフォルニア星雲は、ペルセウス座の散光星雲である。
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参考文献・サイト
NOAO:Diffuse Nebulae
World Book at NASA
SDES:Diffuse Nebulae
2009/02/27
2009/07/17