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ガンマ線バーストを語る。

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ガンマ線バーストとは

宇宙のある一点から突如として、大量のガンマ線が瞬時に放射される天文現象をガンマ線バーストという。



ガンマ線バーストの継続時間は、10〜20秒程度である。
このようなガンマ線バーストが一日に1〜3個の割合で出現する。
しかも、天球のどの方向に、いつ出現するのか予想がつかない。



このため、ガンマ線バーストの観測は非常に困難なものである。






発見以来30年以上経過したが、依然としてガンマ線バーストは不明な点が多い。
ガンマ線バーストの出現には、極超新星が関与していることは解明されたが、そのメカニズムは謎のままである。




ガンマ線バーストの性質

ガンマ線バーストは一日に2〜3個の割合で、まったくランダムな場所に出現する。
しかし、ガンマ線は地球の大気圏によって吸収されてしまうので、地上からガンマ線バーストを観測することはできない。



このため、ガンマ線バーストはガンマ線を検出可能な機器を搭載した人工衛星によって、衛星軌道上から観測することになる。
ESAのインテグラルや、NASAのGLAST(Fermi)がその一例である。



ガンマ線バーストの出現場所は、天球の全方向体に分布する。
このことから、ガンマ線バーストは銀河系内ではなく、銀河系外のはるか遠方での天文現象であることが分かっている。




アフターグロー

ガンマ線バーストは数秒間、ガンマ線を放つが、その直後にエックス線可視光線を残像のように出現する。
これをアフターグローという。



この可視光(アフターグロー)のスペクトル分析から、ハッブルの法則によって、ガンマ線バーストが、数十億光年先の現象であることが確認されたのだ。




ガンマ線バーストの種類

ガンマ線バーストには、「硬ガンマ線バースト」「軟ガンマ線リピーター」の2種類が存在すること確認されている。



中性子星の一部は、爆発してクォーク星になると予測されている。
この時の爆発をクォーク・ノバ(クォーク新星)という。



クォーク・ノバが放出するエネルギーは膨大である。
クォーク・ノバがガンマ線バーストの正体とする説もある。




ガンマ線バーストと大量絶滅

生命の誕生以来、地球上では10回以上の大量絶滅が発生している。
その中の一つが恐竜の絶滅だ。
恐竜の絶滅は、隕石衝突が原因で起きた大量絶滅である。



オルドビス紀末に発生した大量絶滅では、生物種の80%以上が絶滅した。
この大量絶滅の原因を、ガンマ線バーストが太陽系の至近距離で発生したとする説がある。



ガンマ線バーストによって受ける大量のガンマ線の照射時間は10秒程度だ。
しかし、なんな短時間であっても至近距離から地球が受けると、オゾン層の半分が破壊される。
フロンガス以上の破壊力なのだ。



このため、太陽からの紫外線が増加し、地表の生物が死滅する。
一部の生物群が死滅すれば、食物連鎖が切断されるので、影響は生物界全体に及ぶのである。




ガンマ線バースト発見の歴史

1960年代、米国はソ連の核実験を監視するための衛星を多数打ち上げた。
1967年7月、監視衛星の一つがまったくの偶然に突如として宇宙から来るガンマ線を捕捉した。



これがガンマ線バーストが人類に知られた最初の例になった。
しかし、軍事面での理由によりこの発見は、数年の間秘密にされたままだった。



1973年になって、ガンマ線バーストの発見が公表された。
その中では、1969年7月から1972年7月までの間に、16個のガンマ線バーストを発見したことが記載されていた。




ガンマ線バーストの例

GRB 080319B

GRB 080319Bは、うしかい座に出現したガンマ線バーストである。
ガンマ線バースト観測衛星スウィフトによって、2008年に検出された。
このガンマ線バーストまでは75億光年と見積もられている。



際立ったのは、このガンマ線バーストの残光である。
5等級の恒星のように観測された。
肉眼で観測できた最遠の天体と考えられる。




GRB 080916C

ガンマ線宇宙望遠鏡フェルミによって観測されたガンマ線バーストである。
過去最大規模のエネルギーを放出した。


ガンマ線宇宙望遠鏡フェルミがとらえたガンマ線バースト
出典:NASA





ガンマ線バーストのFAQ

ガンマ線バーストとは何ですか?

ガンマ線バーストは、極めて強力なガンマ線が短い時間で放出される天文現象です。
おおよそ1日に1回程度の頻度で観測されています。
観測にかからないものも含めると、宇宙全体で1日に500個程度のガンマ線バーストが出現していると見積もられています。





ガンマ線バーストの符号の読み方は?

ガンマ線バーストには、GRBで始まる符合が与えられ、これを見るといつ出現したかが分かります。
例えばGRB091228であれば、09年12月28日に出現したガンマ線バーストです。
一日のうちに、2個以上のガンマ線バーストが発見されれば、GRB091228a、GRB091228b、GRB091228cとアルファベットが追記されます。





ガンマ線バーストが出現しやすい方向は?

ガンマ線バーストが出現しやすい方向はありません。
どの方向でも、同じ確率で出現します。
これは、ガンマ線バーストが銀河系内の現象ではなく、はるか遠方の現象であることを示しています。





アフターグローとは何ですか?

ガンマ線バースト発生後に残る残光がアフターグローです。
目に見える光(可視光)以外にラジオ波(可視光)からX線までの範囲の電波を放射されます。





ガンマ線バーストには、必ずアフターグローが伴うのですか?

理論上、ガンマ線バーストの後には必ずアフターグローが伴うと考えられています。
しかし、すべてのアフターグローが観測できるわけではありません。
昼間に発生したガンマ線バーストは、地上の光学望遠鏡では、アフターグローを観測できません。
星間塵の多い領域でのガンマ線バーストは、アフターグローが減衰してしまいます。





アフターグローの持続時間は?

ガンマ線バースト発生から短いもので数日間、長いもので数年の間持続します。





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参考文献・サイト

Gamma-Ray Bursts
Fermi
Hubble Pinpoints Record-Breaking Explosion
ガンマ線天文衛星Swift打上げに成功!
NASA's Fermi Telescope Sees Most Extreme Gamma-ray Blast Yet
ガンマ線バーストで読み解く太古の世界
ガンマ線バースト観測衛星HETE-2打ち上げについて
ガンマ線バーストの解説と想像図

2008/08/30
2009/02/24



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