大量絶滅を語る。
大量絶滅とは
地層の違いは何を示しているのか?
大量絶滅とは、多種の生物が同時期に絶滅する現象である。
生命の誕生以来、10回以上の大量絶滅が起こっている。
地層の中には化石が含まれている。
ところが、地層が変ると含まれる化石の種類がガラリと変る。
これは、ある時期を境として、生物の種類がまったく変ってしまったことを意味している。
カンブリア紀や三畳紀、ジュラ紀といった地質年代の区分は、このような生物種の違いによって決められている。
生物種は、進化によって少しずつ交代する。
しかし、それだけではなく、多くの生物種が急激に交代することがあるのだ。
それが、地質年代の区切りなのである。
新たに出現した生物種は、その地質年代に誕生した生物種である。
一方、地層の区切りで化石が消えたということは、その生物種が滅んだことを示している。
地質年代の境目では、多くの生物種が全地球的規模で絶滅しているのである。
これが大量絶滅である。
ビッグファイブ
地球の生物は、10回以上の大量絶滅を経て今日に至っている。
これらの中で特に規模の大きい大量絶滅が5回あった。
この5回の大量絶滅をビッグファイブを呼ぶ。
背景絶滅
大量絶滅とは別に、いつの年代にも絶滅はランダムに起こっている。
これを背景絶滅という。
背景絶滅は、ごく少数の生物種がひっそりと滅ぶので、地質学的には分かりにくい。
背景絶滅の原因は様々であるが、全地球的規模の環境変化ではない。
ビッグファイブ
特に規模の大きい5回の大量絶滅がビッグファイブだ。
オルドビス紀末[O/S境界]の大量絶滅
生物種の85%が絶滅した。
太陽系の近くでガンマ線バーストが発生し、その放射によって絶滅が起きたという説が提示されている。
デボン紀末[K/T境界]の大量絶滅
海洋生物種の約80%が絶滅した。
海水面の後退と乾燥化が原因らしいが、詳細は分かっていない。
ペルム紀末[P/T境界]の大量絶滅
古生代と中生代の境界で起きた大量絶滅である。
海生生物の95%以上が絶滅した。
三葉虫はこのときに絶滅している。
史上最大規模の絶滅である。
酸素濃度が極めて低下したことが確認されており、大量絶滅の原因を酸欠に求める主張もある。
三畳紀末[T/J境界]の大量絶滅
比較的スケールの小さい大量絶滅である。
これ以後、恐竜が栄えていった。
白亜紀末[K/T境界]の大量絶滅
中生代と新生代の境界で起きた大量絶滅である。
ユカタン半島に落下した隕石によって、塵が舞い上がり太陽熱を遮断した。
これが原因となって、大量絶滅が発生したのである。
この隕石によるクレーターは発見されている。
恐竜はこのときに絶滅した。
その他の大量絶滅
ビッグファイブ以外にも大量絶滅が起こっている。
エディアカラ紀末[V/C境界]の大量絶滅
先カンブリア代と古生代の境界で起きた大量絶滅である。
エディアカラ生物群が絶滅した。
完新世(現代)の大量絶滅
現代も大量絶滅が起こっている考えられている。
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参考文献・サイト
田近 英一「凍った地球」新潮選書,2009
川上紳一、東條文治「地球史がよくわかる本」秀和システム,2006
「現代用語の基礎知識2004」自由国民社,2003
Huge Space Clouds May Have Caused Mass Extinctions
Near Earth Object Program
2008/03/23
2008/09/27
2009/03/11