ガンマ線天文学を語る。
ガンマ線天文学とは
ガンマ線
ガンマ線は目に見えないが、物体を透過する光である。
その透過力はエックス線よりも強い。
つまり、エックス線よりも大きなエネルギーを持つのである。
ガンマ線のエネルギーは大きいので、ガンの治療に利用される。
ガンマ線を使ってガン細胞を破壊するのである。
その他、滅菌にも利用されている。
医療器具(注射器、人工臓器)を消毒するためにガンマ線を照射するのである。
ガンマ線天文学
恒星が目に見えるのは、目に見える光(可視光)を放射しているからである。
一方で、恒星は目に見えない電磁波も出している。
たとえば、赤外線、紫外線、ガンマ線、エックス線なのだ。
天体は、人間が見える光か、見えない光かに関係なく、出したい電磁波を出している。
人間の眼に見える光だけが、像として見えるのだ。
光学望遠鏡で天体を観測するということは、天体の光(可視光)を観測することである。
光学望遠鏡は、様々な電磁波の中から、可視光だけをキャッチしているにすぎない。
可視光、電波、X線(エックス線)、ガンマ線は、すべて電磁波で波長が異なっているだけである。
赤外線、紫外線、ガンマ線、エックス線は人間の目には見えないが、特定の波長をキャッチする専用の観測機器を使えばこれら電磁波を見ることができる。
宇宙から来るガンマ線を観測する研究分野をガンマ線天文学という。
普段は可視光で見慣れた宇宙を、ガンマ線で見たらどう見えるのだろうか?
ガンマ線天文学は、この疑問に答える天文学なのである。
ガンマ線観測衛星
ガンマ線は通過力があるが、どんなに長い距離でも最後まで透過することはできない。
物質中を通過するうちに徐々に減衰する(弱まっていく)のである。
宇宙から来るガンマ線は、地球大気を通過するうちに減衰するので、地表には届かない。
過度のガンマ線は人体に有害である。
このため、ガンマ線設備は厳重な安全対策が施されているのである。
もし、地球の大気でガンマ線が減衰しなかったら、地上の生命は生存することができなくなるだろう。
ところが、ガンマ線天文学にとっては大気は邪魔な存在になる。
「あの星はどんなガンマ線を放っているのだろう?」と思っても、地上でそのガンマ線を捉えることができないからだ。
そこで、天体をガンマ線で観測するためには、観測機器を大気の影響のない高空や大気圏外に置かなければならなくなる。
現在では、ガンマ線の検出装置を搭載した人工衛星を利用している。
このような人工衛星をガンマ線宇宙望遠鏡、またはガンマ線観測衛星という。
フェルミ
2008年06月11日に打ち上げられたガンマ線天文衛星である。
米国、日本、イタリア、フランス、スウェーデン、ドイツが共同で開発した。
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HETE-2
2000年10月09日に打ち上げられたガンマ線天文衛星である。
INTEGRAL
2002年10月17日に打ち上げられた天文衛星である。
ガンマ線とX線を同時に観測する。
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Swift/スウィフト
2004年11月20日に打ち上げられた天文衛星である。
ガンマ線源
宇宙には多くのガンマ線源がある。
ここでは代表的なガンマ線源を解説する。
これ以外にもガンマ線天文学のターゲットは多い。
パルサー
短い周期で電磁波を放射する天体をパルサーという。
放射の間隔(パルス周期)は、数ミリ秒から数秒の範囲が多い。
電磁波には、可視光線、電波、X線、ガンマ線が含まれている。
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分子雲
銀河系内の円盤部(ディスク部)の分子雲からガンマ線が放射されている。
超新星残骸
超新星の爆発によって四散した物質が空間のガスと衝突し発光している天体が超新星残骸だ。
この衝突によって熱が発生する。
この熱からガンマ線が放射される。
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活動銀河
銀河の中には、中心領域から膨大なエネルギーを放っている種類がある。
このような銀河を活動銀河という。
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ガンマ線バースト
ガンマ線バーストは、極めて強力なガンマ線が短い時間で放出される天文現象だ。
突如として天球の一角で強力なガンマ線が放射する。
どの方向に出現するかは、まったく予測ができない。
こんな現象が、1日に1回程度の頻度で観測される。
これがガンマ線バーストだ。
ガンマ線バーストは1960年代に発見された。
しかし、その後の研究は進まず、銀河系内の現象なのか、銀河系外で起こっているのかもわからなかった。
1997年になってガンマ線バーストの原因天体が、はるか遠方の銀河であることが明らかになってきた。
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参考文献・サイト
INTEGRAL
Gamma-rays
Gamma-Ray Burst Challenges Theory
グラスト(GLAST)国際ガンマ線天文衛星打ち上げ
2008/07/05