ブラックホールのQ&A
ブラックホールはどのように生まれるの?
太陽は永久に輝き続けるのでしょうか?
そんなことはありません。今から50億年後、太陽は膨れ上がり赤色巨星となって表層のガスを宇宙空間に逃がしてしまい、高温の中心核がむき出しになります。これが白色矮星です。
白色矮星は熱源を内部に持たないのでやがて冷えて暗くなります。
すべての恒星がこのような生涯を送るとは限りません。
太陽の約8倍以上の重さの星は最後に大爆発を起こします。これが超新星です。
一部の超新星が爆発のあとにブラックホールを残します。ブラックホールの誕生は星の生涯と密接にかかわっています。
ここでは星の生涯と仕組みについて説明します。
星が輝くしくみ
恒星は質量が大きいため、自分の重力で縮まろうとします。
ところが、収縮すると中心部の圧力が高まるので、核融合反応が促進され熱が生じ、恒星が膨張しようとします。
重力による収縮と核融合反応による膨張がバランスするので、恒星はそのサイズを保っています。
ところが、燃料となる元素を使い果たすともう核融合反応を続けることができません。
こうなると、恒星は自らの重力で縮小するため中心部の密度は非常に高くなり、恒星の内部では物質がギュウギュウ詰めになっていき、やがて原子核同士が接触してしまいます。
あまりにも混み合っているため陽子が電子を取り込んで中性子になります。
こうして恒星の内部は中性子ばかりの芯が出来上がります。
中性子の芯は密度が高くコチコチに硬い物質で、縮退圧で維持されます。
縮退圧とはもうこれ以上縮まりたくないと内部から外側に作用する力のことです。
核融合反応を終えると星全体が縮小しようとして、中性子の芯に恒星の全質量がのしかかってきます。
これに対し、中性子の芯は縮退圧によってこれら物質を一気に跳ね返します。この現象が超新星爆発です。
超新星爆発によって周囲が吹き飛ばされ、残った中性子の芯が中性子星になります。
巨大な星の最後はブラックホール
もし爆発する前の恒星の質量が太陽の30倍以上もあった場合、これだけで済まされません。
星全体の縮小によって中性子の芯にかかる物資の重さは、縮退圧よりもはるかに強力なものになります。
超新星爆発を起こしても、縮退圧は役に立たないので、芯はさらに収縮を続けます。
この収縮を止める手立ては何もありません。自己の重力によってどこまでも収縮していきます。
収縮によってすべての物質がシュバルツシルト半径より内側に入ったとき、内部の光は外に脱出できなくなります。
これがブラックホールの誕生です。
恒星の運命は、質量によって決まります。次の表にまとめておきましょう。
太陽と比較した重さ | 進化のプロセス |
0.08倍以下 | 褐色矮星 |
0.08倍〜8倍 | 主系列星→赤色巨星→白色矮星 |
8倍〜30倍 | 主系列星→赤色巨星→超新星爆発→中性子星 |
30倍以上 | 主系列星→赤色巨星→超新星爆発→ブラックホール |
元々、中性子星もブラックホールも理論的に予測された天体です。
かに星雲は1054年に出現した超新星の残骸ですが、その中心に中性子星が発見されたことから、中性子星は超新星爆発によって生まれることが分かりました。
ブラックホールも超新星爆発によって生まれますが、観測による裏付けはまだ取れていません。
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参考文献・サイト
Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes
2012/07/31