カリストを語る。
カリストとは
木星の衛星の中で、特に大きいイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストをガリレオ衛星と呼ぶ。
カリストは、ガリレオ衛星の中で最も外側を回る衛星だ。
カリスト
出展:NASA nssdc Callisto - Galileo
カリストは16日と16時間で木星の周囲を公転する。
木星の強い潮汐力によって、カリストの自転周期は公転周期と一致している。
このため、カリストは常に同じ面を木星に向けていることになる。
これは、カリストに限ったことではない。
ガリレオ衛星はすべて、自転と公転が一致しているのだ。
ガリレオ衛星の中で、イオ、エウロパ、ガニメデの3つの衛星の公転周期は、1:2:4の比例関係になっている。
ガニメデが1回公転する間に、イオは4回転、エウロパは2回転するのだ。
このような軌道の共鳴は、長い間に互いに引力を及ぼし合った結果、公転周期が安定した比例関係に落ち着いたからである。
カリストは他の3衛星よりも離れている。
数値は理科年表2009年版から引用
左図は、木星からガリレオ衛星までの距離を比較したものだ。
数字は木星から衛星までの距離が、木星半径の何倍かを示している。
これを見るとカリストは、他の3衛星よりも際立って離れていることが分かる。
離れているのでカリストは軌道共鳴には加わっていないのだ。
カリストのサイズは水星に匹敵し、衛星としては、ガニメデ、タイタンに次いで3番目に大きい天体である。
カリストの密度は1.86g/cm3であり、ガリレオ衛星の中で最小の値である。
これは、カリストが大量の水分を含んでいることを反映している。
カリストの特色
カリストの地形
カリストの表面はクレーターで埋め尽くされている。
目だった山や谷はない。クレーターだらけなのだ。
クレーターは他の天体の衝突によって形成され、山や谷は地質活動によって作られる。
地質活動が活発な天体では、クレーターが形成されても次第に消失してしまう。
カリストの表面の無数のクレーターは、カリストの地質活動が極めて低調であることを示しているのだ。
その表面はおよそ、40億年の古さと見積もられている。
直径が1000km以上の天体では、カリストは地質活動がまったくない唯一の天体なのである。
カリストのクレーター、チンドル
出展:NASA JPL Photojournal
カリストの赤道付近にあるクレーター・チンドル[Tindr]は70kmの直径を持つ。
(左の写真)
南東の方角(写真の右下)のクレーターの壁が低くなっている。
このことから、チンドルを形成した隕石は斜めからカリストの表面に衝突したことが伺える。
クレーターの内部にポツポツとして穴が見える。
カリスト内部の揮発成分がガス化して抜け出た穴のようだ。
チンドルが生成した年代の見積もりには、10億年前〜39億年前と幅がある。
氷層下の海
カリストの表面は氷に覆われているが、その下には塩分を含んだ液体の海が存在することが確実視されている。
カリストの内部構造
出展:NASA JPL Photojournal
ガリレオ探査機による調査で、カリストに誘導磁場が存在することが確認された。
これは、カリストの氷層下に導電性の流体が存在することを示唆しているからだ。
カリストの氷層は200kmの厚みがあり、その直下に深さ10km程度の海があると考えられている。
中心核は岩石と氷で出来ているようだ。
カリストの表層下に凍っていない海があるということは、何らかの熱源がカリスト内部に存在することを意味している。
これは、地質学的に不活発であることと矛盾している。
カリストは木星の磁場の中を公転する。
磁場を横切るときに、カリストの海に電流が生じる。
この電流がカリストに誘導磁場を発生させるらしい。
カリストの他、エウロパ、ガニメデの氷の下にも海の存在が確信されている。
カリストの大気
ガリレオ衛星はすべて希薄な大気を持つことが確認されている。
カリストの大気は二酸化炭素だ。
重力が小さいにもかかわらず、カリストの大気が健在なのは、地殻中のドライアイスから少量ずつ二酸化炭素が供給されているからだという見解もある。
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参考文献・サイト
NASA Solar System Exploration
Wikipedia:Callisto (moon)
2007/08/10
2008/09/06
2010/01/19