マウンダー極小期を語る。
17世紀中期から18世紀初頭にかけて、太陽黒点が顕著に少ない時期があった。
この時期がマウンダー極小期だ。
およそ70年間に黒点数は50個程度が出現したのみだった。
マウンダー極小期の間、地球の気候は寒冷化していた。
マウンダー極小期とは
太陽活動の極小期
太陽黒点の数は約11年のサイクルで増減する。
太陽は11年の周期で、活発な時期(極大期)と不活発な時期(極小期)を繰り返すのだ。
これを太陽活動周期という。
太陽活動周期の極小期には、太陽黒点の数はほとんどなくなる。
しかし、太陽黒点の少ない時期が延々と継続するのでない。
しばらくすると、太陽黒点の数は徐々に増え始め、やがて極大期に入っていく。
太陽活動周期は、太陽自体にとっての季節変化のようなものだ。
地球の季節変化が1年を周期としているのに対し、太陽自体の季節変化は11年を周期としているのである。
(季節変化は比喩であって、本当に季節が変化しているのではない)
異常に長い極小期
太陽活動周期とは別に、長期間に渡って極めて太陽が不活発であった時期がかつてあった。
1640年代から1710年代からまでの約70年間は、太陽黒点がほとんど観測されなかったのだ。
極小期が延々と70年続いたようなものである。
地球の季節で例えれば、季節変化がなくなり7年間ずっと冬が継続するようなものである。
この約70年間に及ぶ太陽活動の極小期をマウンダー極小期という。
マウンダー極小期という名称は、研究者マウンダーの名にちなんでいる。
このグラフでは、マウンダー極小期が明確に現れている。
1640年代から1710年代からまでの期間に太陽黒点の数が顕著に少ない。
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さくいん
マウンダー極小期の特色
その時期、地球は寒かった
17世紀から18世紀初頭の観測器材では、近年に比較して精度が低いことは否めない。
しかし、それを勘案してもなお、マウンダー極小期にあたる時期の太陽面のスケッチに残された黒点数が極めて少ないのだ。
マウンダー極小期の間、太陽黒点は約70年間で50個程度しか観測されていない。
通常の活動であれば、70年間に4万個程度の太陽黒点が出現することと比較すると、いかにマウンダー極小期が太陽が不活発であったかが伺える。
マウンダー極小期にあたる期間はヨーロッパが極めて寒冷であった時期(小氷期)と一致している。
太陽の活動が低下したため、地球が寒冷したとする仮説もある。
しかもこの時代は、オーロラの観測記録も少ない。
オーロラは太陽の活動と密接に関連している。
フレアやCMEが活発であれば、オーロラも多くなる。
マウンダー極小期には、フレア、CMEの発生も低調だったことが推察できる。
さらに過去の極小期
木の年輪の研究や開花時期の記録からも、過去1000年の間に地球が寒冷であった時期が4回確認されている。
これら寒冷には名前がついている。
マウンダー極小期はその中の一つだ。
- マウンダー極小期:1645〜1715
- シュペーラー極小期:1420〜1530
- ウォルフ極小期:1280〜1340
- オーアト極小期:1010〜1050
この中で太陽黒点の記録の裏づけを伴うのは、マウンダー極小期だけだ。
なぜ、マウンダー極小期というのか?
マウンダー極小期という名称は、パーカーによって命名された。
マウンダー自身が、極小期を発見した当初は注目されず、後日パーカーによってマウンダーの業績が再評価されたことによる。
マウンダーは太陽活動周期にともなって、太陽黒点の出現する緯度が変化することも突き止めている。
これをグラフにすると、蝶がハネを広げたように見えることから、「蝶々図」「バタフライ図」と呼ばれている。
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マウンダー極小期の謎
マウンダー極小期は北半球だけ寒かったのか?
マウンダー極小期に地球は小氷期になったが、顕著に冷えたのは北半球である。
この時期、南半球も寒冷化したという情報はないようだ。
そうなると、マウンダー極小期は、本当に小氷期の原因であるのか?
マウンダー極小期は、北半球の気候にしか影響しないのかが疑問になる。
NASAのシンデル氏[Shindell]が、気象モデルを用いシュミレーションを行ったところ、疑問の解明に結びつくかもしれない興味深い結果が得られた。
成層圏内にはオゾン層がある。
オゾン層のオゾンは、太陽からの紫外線によって生成される。
マウンダー極小期に、太陽からの紫外線が減れば、オゾン層は薄くなる。
これが、ジェット気流に影響してグリーンランド付近の気圧を変化させる。
その結果、北米やヨーロッパの冬の気候が厳しくなるという。
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マウンダー極小期のFAQ
マウンダー極小期とは何ですか?
1640年代から1710年代からまで、太陽黒点がほとんど観測されなかった約70年間をマウンダー極小期といいます。
マウンダー極小期に地球に何が起きましたか?
マウンダー極小期に、ヨーロッパや北米は寒波に襲われました。
オーロラは太陽の活動と密接に関連しているはずの、オーロラの観測記録も多くはありません。
このことから、太陽が不活発であったと推察できます。
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参考文献・サイト
Solar Physics
Chilly Temperatures During the Maunder Minimum
The Sun's Chilly Impact on Earth
EdGCM:Simulating the Maunder Minimum
Natural Sunblock: Sun Dims in Strange Ways
Glaciers, Old Masters, and Galileo: The Puzzle of the Chilly 17th Century
2008/01/27