成層圏を語る。
成層圏とは
地球の表面は空気の層で覆われている。
この空気の層を大気圏という。
大気は高さによって性質が異なるので、大気圏は均一ではない。
このため性質によって以下の5つの層に分類されている。
大気圏の領域内で、対流圏のすぐ上が成層圏である。
成層圏の性質
対流圏では、高度の上昇に伴って気温が下がっていく。
より標高が高い地点でより気温が低いのは、このためだ。
ところが、この傾向は際限なく続かない。
高度が10キロメートルを超えると、この傾向は逆転する。
この逆転が起こる面から上層を成層圏という。
成層圏では高度とともに温度が上昇していくのだ。
成層圏の中に存在はオゾン層がある。
オゾン層が太陽からの紫外線を吸収してエネルギーを得るため、成層圏内の気温が上昇するのである。
成層圏のさらに上層を中間圏という。
対流圏と同様に、中間圏では高度とともに温度が低下する。
対流圏界面(対流圏と成層圏の境界)付近では、気温は約-70℃程度である。
そこから40kmほど上昇した成層圏界面(成層圏と中間圏)付近での気温は-15〜0℃である。
成層圏の由来
成層圏という名称の由来は、温度上昇の特徴にある。
成層圏が発見された当初、下部に重い気体の上層に軽い気体があり、混ざり合わない層を作っていると考えられたからだ。
現在では、成層圏内でも上下方向に空気が移動することも分かっている。
このため、成層圏というネーミングは誤りであるはずだが、継続して使用されている。
ブルージェット
ブルージェットは雷放電に付随する発光現象であるが、落雷現象とは一対一で対応していない。
中間圏発光現象の一つであるが、成層圏での発生が多い。
オゾン層
成層圏内で高空ほど高温になるのは、オゾン層の存在による影響が大きい。
オゾンは、太陽からの紫外線を吸収する。
オゾン層には、オゾンは多く含まれているため、紫外線を吸収することによって熱を持つ。
高空のオゾンほど、より多くの紫外線を吸収するので気温が高くなるのである。
チャップマン機構
酸素分子が紫外線を吸収して分解し、オゾンが生成される一連の化学反応のプロセスをチャップマン機構という。
ダイマー駆動機構
塩素原子が成層圏で、オゾンを次々と破壊していく化学反応のプロセスをダイマー駆動機構という。
成層圏界面
成層圏と中間圏との境界を成層圏界面という。
成層圏と気象
成層圏が地表付近の気温に影響を与えているらしい。
1640年代から1710年代からまでの約70年間は、太陽黒点がほとんど観測されず、太陽が不活発であったことが分かっている。
この時期をマウンダー極小期という。
マウンダー極小期にあたる期間はヨーロッパが極めて寒冷であった時期(小氷期)と一致している。
マウンダー極小期と小氷期の関連を調べるためにNASAのシンデル氏[Shindell]が、気象モデルを用いシュミレーションを行った。
その結果、成層圏が地表の気温に影響を与えている可能性が示唆された。
マウンダー極小期に、太陽からの紫外線が減れば、オゾン層は薄くなる。
これが、ジェット気流に影響してグリーンランド付近の気圧を変化させる。
その結果、北米やヨーロッパの冬の気候が厳しくなるという。
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参考文献・サイト
NOAA:Layers of the Atmosphere
The Stratosphere
2008/08/15
2009/04/17