さいだん座を語る。
さいだん座は、南天の星座である。
さそり座のすぐ南にある。
「さいだん」とは祭壇のことである。
さいだん座の由来は分かっていない。
ケイロン(いて座)の祭壇だとする説がある。
さいだん座は、トレミーの48星座である。
トレミー48星座は、2世紀以来使われてきた。
しかし、18世紀に、トレミー48星座の中のアルゴ座がラカイユによって分割された。
さいだん座を含む残りの47星座は、すべて現在の88星座に引き継がれている。
さいだん座の主な恒星
さいだん座α [α Ara]
さいだん座αは、チョウという固有名で呼ばれる場合もある。
チョウには「乳鉢」という意味がある。
変光星である。
太陽系から242光年の距離にある。
さいだん座β [α Ara]
K型の超巨星であり、さいだん座で最も明るい。
太陽系から603光年の距離にある。
さいだん座γ [γ Ara]
青白いB型の超巨星AとA型の主系列星Bから構成される連星である。
太陽系から1140光年の距離にある。
さいだん座の主な星雲・星団
NGC6193
NGC6193は散開星団である。
NGC6352
NGC6352は球状星団である。
NGC6362
NGC6362は球状星団である。
NGC6397
NGC6397は球状星団である。
太陽系から7200光年の距離にある。
球状星団の中では、特に近い部類である。
あかえい星雲[Hen-1357]
「あかえい」とは魚類の「アカエイ」のことである。
星雲の形が「アカエイ」に似ていることから名前がついた。
あかえい星雲は、惑星状星雲である。
惑星状星雲は、赤色巨星が周囲のガスを散逸させることによって誕生する。
あかえい星雲は、ごく最近に誕生した惑星状星雲である。
1980年代に、惑星状星雲の特徴が確認されてから、徐々に形が大きくなってきた。
末期の恒星が惑星状星雲の特徴を示すまで100年程度しかかからないと考えられている。
この時間スケールは、天文学的には異例の短さである。
さいだん座のその他の天体
XTE J1650-500
XTE J1650-500はX線連星である。
この連星は、ブラックホールと恒星で成り立っている。
ブラックホールは、観測史上、最小質量のブラックホールである。
質量は太陽質量の3.8倍でしかない。
恒星が超新星爆発を経てブラックホールになるには、太陽質量の1.7倍〜2.7倍以上の質量が必要である。
従ってXTE J1650-500のブラックホールは、理論上の限界に近い質量である。
グリーゼ674 [Gl 674]
PSR J1740-5340
ミリセカンドパルサーである。
伴星として赤色巨星を持つため、誕生直後のミリセカンドパルサーと考えられている。
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参考文献・サイト
Constellations
Star Tales
国立天文台・天文ニュース (171)
HubbleSite
HubbleSite
Goddard Space Flight Center
2008/05/13
2009/09/28