ガーネット・スターを語る。
ガーネット・スターとは
ケフェウス座は秋の星座である。
ホームベース型に並んだ5つの星が特徴である。
ガーネットスターの位置
出典:AAVSO
ケフェウス座のμ星は、別名ガーネット・スターとも呼ばれている。
ガーネット・スターは、ホームベースの底辺近くにある。
左の写真の青い文字がガーネット・スターの位置だ。
ケフェウス座μ星は、元々エラキスという固有名を持っていた。
この星が極端に赤いことから、ウィリアム・ハーシェルがガーネットと表現した。
ガーネットとは、ざくろ石のことである。
赤い色をした鉱物である。
ハーシェルは、観測記録の中でこの星の色をガーネットと表現しただけで、ガーネット・スターと名付けたのではない。
ガーネットスターを発見したのでもない。
後にハーシェルの観測記録が引用されて、「ガーネットスター」または「ハーシェルのガーネットスター」という名称が広まったのである。
ガーネットスターには、元々μ(ミュー)というバイエル符号が付いている。
これは、ハーシェル以前にバイエルがこの星を観測していることの証拠でもある。
星図を見ると恒星に番号が付いている。
この番号をフラムスティード番号という。
これは天文学者フラムスティードが、観測した恒星をカタログにしたときに与えられた番号なのである。
フラムスティードは、ケフェウス座μ星をカタログに載せていなかった。
そのため、ガーネット・スターにはフラムスティード番号がない。
赤い恒星と言えば、ガーネット・スターの他にうさぎ座Rが「ハインドの深紅星」として有名である。
なお、ハインドは、ガーネットスターが変光星であることを発見した。
ガーネット・スターの特色
赤色超巨星ガーネット・スター
ガーネット・スターは赤色超巨星であり非常に大きい。
現在確認されている中で、6番目に大きいサイズの恒星なのだ。
そのサイズは太陽の約1400倍にも達する。
ガーネット・スターを太陽系に持ってくると、木星の軌道まで飲み込まれてしまう。
恒星のサイズは不明な部分が多い。
しかし、ガーネットスターは、巨大な恒星ベスト10に入ることは、ほぼ間違いない。
(当然、未発見の巨星は除く)
ガーネットスターよりも巨大な恒星は、次の5つが知られている。
(ただし、資料によって異なる)
-- おおいぬ座VY
-- いて座KW
-- はくちょう座KY
-- ケフェウス座V354
-- ケフェウス座VV
しかし、肉眼で見える恒星に限れば、ガーネットスターが最も巨大な恒星と考えられている。
ガーネット・スターは、太陽の約3万8000倍の明るさで輝いている。
このため、絶対等級はマイナス7等にも達する。
変光星としてのガーネット・スター
内部は非常に不安定であるため、星自体が脈動する。
このため、ガーネット・スターは、2〜2.5年の周期で、3等級から5等級まで変光する半規則型の脈動変光星である。
これは、ガーネット・スターが末期に近づいた恒星であることの証拠である。
すでに水素の核融合反応は終わっており、そのカスであるヘリウムの反応が始まっている。
半規則型の脈動変光星は、規則性に応じてSRA、SRB、SRC、SRDに細分類される。
この中で、ガーネット・スターはSRCに分類される。
ガーネット・スターは、変光に伴って色も変化するという報告もある。
深い赤、オレンジ、紫に変化するというのだ。
これは錯覚なのか、地球大気による影響なのか、本当にガーネット・スターの色が変化しているのかは分かっていない。
ガーネット・スターの運命
ガーネット・スターの質量は太陽の25倍近い。
このように重い星は、核融合反応の進行が速い。
つまり、早く寿命が尽きてしまう。
太陽は100億年輝くのに対し、ガーネット・スターは数百万年と短命だ。
ガーネット・スターはすでに末期の星である。
やがて超新星爆発を起こすことになるだろう。
その後には、ブラックホールが残ることになる。
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参考文献・サイト
2008/08/09