ドーンを語る。
小惑星探査機ドーンとは
なぜ、小惑星探査なのか?
小惑星探査機ドーンは準惑星ケレス、小惑星ベスタを目指す探査機である。
NASAのディスカバリープログラムの一つとして運用されている。
2011年〜2012年に小惑星ベスタを周回して探査した後、2015年3月にケレスを周回する軌道に投入された。
これにより、ドーンは二つの天体を周回した史上初の探査機となった。また、メインベルトに留まる初の人工物になる。
太陽系は46億年前に、最初はガスと塵の円盤から誕生した。
円盤の中心は太陽になり、周囲は塵が集まってゴツゴツした岩石になった。
この岩石を微惑星という。
微惑星は相互に合体し合い惑星へと成長していった。
ところが、木星の引力が強力であったため合体を阻害された微惑星が、一群となってそのまま残ってしまった。
これらが小惑星帯(メインベルト)である。
ケレスやベスタ等の小惑星は微惑星の生き残りだ。
小惑星探査機ドーンは、これらを詳細に調査することによって、太陽系の形成プロセスや初期状態について明らかにしようというものだ。
ドーン[Dawn]とは、「夜明け」の意味である。
小惑星探査機ドーンの任務
2006年の8月に、IAUによって惑星の定義が決定した。
これによって、ケレスは準惑星に分類されたのだ。
したがって、ドーンは史上初の準惑星探査機ということになる。
ドーンはまずベスタ、続いてケレスに接近する。
ドーンのターゲットとして、この2天体が選ばれたことには意味がある。
ケレスとベスタは同じ小惑星でありながら、特性がまるで違うのだ。
ケレスは氷を含んでおり、極冠を持つ。
氷と岩石が入り混じった木星以遠の衛星に似ているようだ。
ケレスは水分を持たないカラカラの岩石質である。
ケレスとベスタは別の場所で誕生し、それぞれメインベルトに移動してきたようだ。
ドーンはケレスとベスタの両方を探査することにより、太陽系誕生の謎に迫るのである。
ドーンがたどる経路は長い。
地球からベスタまでが36億km、ベスタからケレスまでが16億kmだ。
ケレスとベスタは同じメインベルトに属していながら、元々は違ったプロセスを経て成長したらしい。
ドーンはイオン推進エンジンを使用する。
太陽光を受け、太陽電池パネルで電力を生成する。
この電力でキセノンをイオン化し、電場で加速し噴射するのだ。
ドーンはその反動で前進する。
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参考文献・サイト
Dawn website
JPL:Dawn
Discovery Program
2010/10/11
2015/05/06