エウロパの地球外生命を語る。
太陽系内の地球外生命
地球は生命が存在する唯一の星なのだろうか?
人類は太陽系のすべてを探査つくしたわけではない。
高等な知能を持つ生物はいないにしても、細菌レベルの生命体が存在する可能性も否定できない。
特に火星、エウロパ、タイタン、エンセラドスなどは、地球外生命の可能性を秘めた天体である。
生命の存在には水とエネルギー、養分となる物質の供給が必要だ。
エウロパにはこの3つがそろっている。
木星探査機ガリレオによって、エウロパの表層下には、塩分を含む海があることが分かった。
さらに、ハッブル宇宙望遠鏡によって、海の水が噴出する現象も確認されたのである。
エウロパの海は深い。おそらく100キロメートルはあるだろう。
地球の海の深さがせいぜい10キロメートルであることから、エウロパが持つ水の量は、地球上の液体の水の総量の2〜3倍に達すると思われる。
エウロパに地球外生命がいる可能性
エウロパは、微生物クラスの地球外生命が棲息しそうな天体として注目されている。
エウロパの海底は、地球の深海と似た環境だと思われている。
太陽からのエネルギー(光)によって植物が水と二酸化炭素から有機物を生成し酸素を放出する。
動物が有機物を食べ、さらに肉食動物がその動物を食べることによって太陽からのエネルギーが、すべての生命に行き渡っていく。
これが食物連鎖だ。
太陽光の届かない深海の生物であっても、上層から下降してくる有機物をエサにすることで、食物連鎖に組み込まれている。
このため、以前、生命の存在は太陽からのエネルギーに完全に依存すると認識されていた。
1977年、深海探査潜水艇アルビン号が、ガラパゴス海域の深海を探査中に、海底火山の周囲に各種の生物のコロニーを発見した。
このコロニーの生物たちは、太陽光から完全に独立した食物連鎖を維持していた。
地上の植物の光合成が食物連鎖の出発点であるように、地球内部から噴出する硫化水素などの物質を酸化しそのエネルギーを得る細菌が、コロニーでの食物連鎖の出発点であった。
太陽に依存しない食物連鎖の発見は、当時の生物の常識に驚きを持って迎えられると同時に、宇宙生物学の研究にもあらたな道を開いた。
この発見は、地球上の生命の起源にも新たな可能性を与えた。
最初の生命は浅瀬で発生していたとする従来の考え方から、深海底の熱水噴出孔の周囲で誕生したという仮説が見えてきたのである。
木星からの潮汐力の影響によって、ガリレオ衛星は変形する。
その極端な例がイオだ。
イオの内部では、変形による熱が蓄積し火山活動が活発になっている。
エウロパの内部でも潮汐力の影響によって内部が変形して熱を持つ。
この熱が表層下に海を作っていると同時に、海底に火山やそれに伴う熱水噴出孔を生み出していると予測されている。
地球の深海底の熱水噴出孔で最初の生命が誕生したのであれば、エウロパで同じことが起こったとしてもおかしくはない。
これが、エウロパに生命が存在する期待を高めている。
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参考文献・サイト
A Window into Europa's Ocean Right at the Surface
Solar System Exploration:Europa:Overview
NASA Seeks Proposals for Europa Mission Science Instruments
2014/08/06