地球外生命・宇宙生物学の用語集
英数字
ALH84001
南極で発見された隕石。火星由来と考えられている。
隕石中に原始生物に似た痕跡が発見され、火星に生命が存在したことの証拠とされたが、反論も出ている。
COROT
フランスの宇宙望遠鏡。「コロー」と読む。
トランジット法により、太陽系外惑星を探査する。
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COSPAR
コスパーと読む。
宇宙空間研究委員会のこと。
宇宙空間の科学研究を推進するための国際機関。
宇宙検疫に関する指針を出している。
ETC
Extraterrestrial Civilizationの略。
地球外文明
METI
Messaging to Extra-Terrestrial Intelligenceの略。
地球外知的生命へのメッセージ送信の意味
NAI
NASA宇宙生物学研究所のこと。
NASA Astrobiology Instituteの略。1998年に設立された。
OSU計画
OSU計画とは、オハイオ州立大学が進めたSETIプロジェクトである。
ビッグ・イア[Big Ear]と呼ばれる電波望遠鏡で、地球外文明から送信を探査した。
1977年8月15日に奇妙な信号を受信した。
この信号は72秒間継続したが、それ以後、受信されることはなかった。
今日、この信号はワオ信号[Wow! signal]と呼ばれている。
SETI
SETI(セティ、またはセチ)は、地球外知的生命を探す活動を指す言葉である。
多くの団体・個人が地球外知的生命を探査している。
SETIは、特定の活動や団体を示すのではなく、地球外知的生命探査のための活動全般を指す言葉である。
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SETI Institute
地球外の知的生命が発している電波を捕捉することを目的にした非営利団体。
TPF
NASAの宇宙望遠鏡。
地球型の太陽系外惑星発見を目指す。
ア行
アストロバイオロジー
地球上の生物が宇宙空間で示す反応を研究する学問、または生命が発生し進化する天体について調査する学問。
宇宙生物学、圏外生物学とも訳されるが、そのままアストロバイオロジーと表記するケースも多い。
当然、地球外の天体での生命の発生、進化も研究の対象であるが、SETIは含まれていないようだ。
日本では、「日本アストロバイオロジーネットワーク」が2009年1月に発足した。
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アミノ酸
タンパク質の構成単位となる物質。
アミノ基とカルボキシル基の両方を持つ。
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アレシボメッセージ
ヘラクレス座の球状星団M13に向けて送られたメッセージ。
M13内に知的生命がいてこのメッセージを受け取ることを期待している。
アレシボ天文台の電波望遠鏡から送信されたことによりアレシボメッセージという。
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アレンテレスコープアレイ
地球外知的生命探査を目的にした電波望遠鏡群
宇宙検疫
火星やエウロパ、タイタンで生命探査を行う場合、地球の細菌を持ち込まないようにしなければならない。
また、地球外で検出された生命が地球に侵入することも防止しなくてはならない。
このような活動を宇宙検疫という。
宇宙生物学
宇宙生物学には次の2つの意味がある。
①宇宙船内や月面基地での生活が、人間の健康や心理、生物の育成に与える影響を研究する領域。
②地球以外の天体で、生命が誕生し進化する可能性を究明する研究領域。
惑星科学、生物学、医学、心理学、地質学などの学際分野でもある。
ウンターゼー湖
南極にある小型の湖である。
極限環境微生物の研究のターゲットになっている。
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エウロパ
木星の衛星。氷の表層下に塩分を含む海を持つ。
地球外生命が存在する可能性が高いとみなされている。
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オズマ計画
地球外の知的生命からの通信をキャッチすることを目的とした計画。
1960年に実施された。
くじら座τおよびエリダヌス座εに27m電波望遠鏡を向け、150時間に渡って受信を試みたが失敗に終わった。
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オパーリン
オパーリンはソビエトの生化学者である。
生命は初期の地球で化学反応によって誕生したと考えた。これを化学進化説という。(1894年−1980年)
カ行
火星
太陽系の第4惑星。極域の地下1m程度の層に氷が確認されている。地球外生命が存在する可能性が高いとみなされている。[..詳しく見る..]
極限環境微生物
深海の熱水の吹き上げる環境下に適合した微生物が発見されるなど、従来、生命の存在が不可能と考えられていた領域にも生命が存在することが分かってきた。
このような生物を極限環境微生物という。
火星やエウロパ、タイタンには極限環境微生物が生息するのではないかと考えられている。
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グリーゼ581C
最初に発見された地球型の太陽系外惑星。
ハビタブルゾーンに位置することから生命の存在が期待されている。
ケプラー
NASAの宇宙望遠鏡。2008年に打ち上げ予定。
国際天文学連合第51委員会
国際天文学連合の第51委員会は、宇宙生物学の研究および地球外生命探索を担当する委員会である。
第III分科会(惑星科学)の下部組織である。
コロー
フランスの宇宙望遠鏡。トランジット法により、太陽系外惑星を探査する。
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サ行
サイクロプス計画
1971年にNASAが主導したSETI計画である。
1500台のアンテナを並べるという壮大な構想であったが、資金調達等の問題により計画倒れに終わった。
細胞
生命体を構成する基本単位
生命の起源
生命は、生命からしか生まれない。
では、最初の生命は、どこで、どのように発生したのか?
生命の起源とは、最初の生命の出現を指す言葉である。
生命の材料となる物質が有機物だ。
生命の起源をめぐる議論では、初期の海洋で無機物から有機物が合成されたという説が広く受け入れられている。
合成された環境は、浅い海、または海底の熱水噴出孔の近く の二通りの場所が候補となっている。
最近では、有機物は地球上で合成されたのではなく、隕石によって地球にもたらされたとする主張が増えてきた。
隕石や彗星核からアミノ酸などの有機物が発見されており、宇宙空間には有機物が多くあることが分かってきたからだ。
超新星残骸の中にも有機物の存在が確認されている。
有機物どころか単細胞生物を含む隕石が地球に落下して地球の生命になったとする主張もある。
(パンスペルミア仮説)
セントリフュージ
国際宇宙ステーションの実験施設の一つ、宇宙に運ばれた生物の行動や育成、代謝を実験するためのモジュールである。
2005年9月に打ち上げ中止になった。
ソーリン
タイタン上空に舞う有機物の塵をソーリンという。
カールセーガンが命名した。
ソーリンに塩酸を加えて加熱すると、アミノ酸が生成される。
タ行
ダーウィン
ESAの宇宙望遠鏡。地球型の太陽系外惑星発見を目指す。
代謝
生物が生きていくために、体内で行われる化学反応のこと。
または、その化学反応で生じる不要物のことを指す。
ダイソン球殻
恒星を球殻状に取り囲んだ仮想の建造物をダイソン球殻という。
恒星が発生させた全エネルギーの大部分を利用できる。
しかし、エントロピー増大の法則があるため、すべてのエネルギーを回収することはできず、そのままでは熱が蓄積しダイソン球殻内が蒸し焼きになってしまう。
これを防止するために、ダイソン球殻は内部の熱を赤外線にして外部に捨てる必要がある。
高度な科学文明を持った地球外生命は、ダイソン球殻を建設しているという仮説がある。
もしダイソン球殻が存在すれば、それは赤外線を放っているはずだ。
地球外生命探査の一環として、赤外線観測によるダイソン球探査が計画されている。
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タイタン
土星の衛星。濃い大気を持つ。
地球外生命が存在する可能性が高いとみなされている。
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太陽系外惑星
太陽以外の恒星を公転する惑星。「太陽系の惑星の定義」は適用されない。
「地球に生命が発生したように、他にも生命が発生した惑星があるはず」という視点で、地球型の太陽系外惑星の探査は地球外生命探査の主要課題になっている。
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炭酸塩
二酸化炭素を水に溶解することで生じる弱酸を炭酸(H2CO3)という。
炭酸塩とは、この炭酸とアルカリと中和することによって生成される塩のことである。
炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムが該当する。
炭酸塩が発見されるということは、そこに水があった証拠となる。
タンパク質
アミノ酸を組み合わせて作られる生体物質。
アミノ酸の組み合わせはDNAで指定されている。
地球外生命
地球以外の天体で発生した生命を地球外生命、または地球外生命体という。
地球外生命という言葉から、高度な知能を持った宇宙人や生物をイメージするかも知れない。
しかし、地球外生命の科学的な研究対象は、知能や進化の度合いとは無関係だ。
地球外の天体に生息するバクテリア程度の微生物も含めている。
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地球外生命探査
地球外生命を探す活動を地球外生命探査という。
地球外生命探査は大きく3つある。
[1]太陽系内で微生物を探す
[2]太陽系外惑星で生命活動の痕跡を探す
[3]地球外知的生命が発する通信を探す
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動物園仮説
フェルミパラドックスを説明する仮説の一つ。
地球外文明は、地球を動物園・自然公園として扱っているという考え
ドップラー法
太陽系外惑星を探査する手法の一つ。
公転する惑星の影響を受けて恒星がわずかに振動する。
この振動を光のドップラー効果によって捉える。
ホットジュピターを発見しやすい。
トランジット法
太陽系外惑星を探査する手法の一つ。
恒星の前面を惑星が通過するとき、恒星のわずかな減光を捉える。
ドレーク方程式
銀河系内で、知的生命の住む惑星の数を見積もる計算式。
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ナ行
ナビゲータープログラム
地球外生命が住む惑星を探査するNASAの活動プログラム
ハ行
バイキング計画
火星の生命を探査するNASAのミッション。
1号、2号が打ち上げられ、それぞれ軌道船と着陸船から構成される。
着陸船は土壌をサンプリングし生命の代謝反応を確認する実験を行ったが、生命が存在する確証は得られなかった。
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ハビタブル・ゾーン
恒星に近すぎる惑星、遠すぎる惑星は生命の存在に適しない。
生命の存在に適した範囲をハビタブルゾーンという。
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パビリオン湖
パビリオン湖はカナダにある湖である。
NASAが宇宙生物学の研究のために調査を行っている。
パンスペルミア仮説
地球の生命は宇宙から来たと考える仮説の一つ。
生命が発生しやすい環境で生じた生命が隕石なので宇宙に広がったと考える。
フェニックス・プロジェクト
SETIが行っている地球外知的生命体探査活動をフェニックス・プロジェクトという。
フェニックス・マーズ・ランダー
NASAの火星探査機(ランダー)。
火星の北極に着陸し土壌をサンプリングする。2007年7月打ち上げ、2008年5月着陸予定である。
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フェルミ・パラドックス
地球以外にも知的生命の住む天体は多く存在すると思われるが、一方でそれらの痕跡はまったく発見されていない。
この矛盾をフェルミ・パラドクスという。
物理学者エンリコ・フェルミが最初に指摘したことから、この名が付いた。
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ホットジュピター
太陽系外惑星のうち、恒星のすぐ近くを数日で公転する木星型の惑星。
ドップラー法で発見されやすい。
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マ行
マーズ・サイエンス・ラボラトリー
NASAの火星探査機(ローバー)。土壌をサンプリングする。2009年打ち上げ予定である。
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マーチソン隕石
マーチソン隕石は、1969年9月28日にオーストラリアに落下した隕石である。
この隕石の中から複数種のアミノ酸が検出された。
これらアミノ酸は地上で汚染されたものなのか、元々隕石に含まれていたのかで論争になっている。
ヤ行
ユーリー・ミラーの実験
ハロルド・ユーリーとスタンリー・ミラーが行った原始地球での生命誕生を検証する実験。
原始大気を模して水素、水、メタン、アンモニアを封入したフラスコに、雷の代替として電気スパークを与えたところ、アミノ酸が合成されることを確認した。
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ラ行
レアアース仮説
生命の材料となる物質は宇宙に豊富に存在し、条件さえ整えば生命が発生し進化する。
ところが、この条件に適合するケースは極めてまれで、地球は非常に珍しい例としてこの条件に適合したとする仮説。
フェルミ・パラドックスを説明する仮説の一つである。
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ワ行
ワオ信号
オハイオ州立大学が進めたSETIプロジェクトが、奇妙な信号を受信した。
この信号は72秒間継続したが、それ以後、受信されることはなかった。
担当者が、受信を記録した用紙の余白に「Wow!」と走り書きしたことから、この信号はワオ信号と呼ばれるようになった。
今日に至るまで、この信号が地球外知的生命によるという証拠はない。
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参考文献・サイト
小林憲正「アストロバイオロジー」岩波科学ライブラリー,2008
NASA:Astrobiology
Astrobiology.com
NASA Astrobiology Institute
Astrobiology Magazine
Astrobiology: An Integrated Science Approach
Spaceward Bound: Pavilion Lake 2008
惑星地質ニュースVol21/No1:アストロバイオロジーへの招待
2014/04/20
2014/11/26