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アレシボ天文台を語る。

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アレシボ天文台とは

プエルトリコのアレシボにある世界最大の電波天文台がアレシボ天文台である。


アレシボ天文台
アレシボ天文台の電波望遠鏡
出展:NAIC

アレシボ天文台のパラボラアンテナの直径は305mもある。
単独の電波望遠鏡としては世界最大のサイズである。

米国科学財団[National Science Foundation:NSF]との協定に従い、コーネル大学が運営している。

アレシボ天文台[Arecibo Observatory]は米国天文学電離層センター[National Astronomy and Ionosphere Center:NAIC]の一部である。 しかし、NAICとアレシボ天文台は同じ意味で使用される傾向にある。



アレシボ天文台の構造

パラボラの部分は山の斜面に固定されている。
そのため、パラボラを目標の方向に向けることができない。



そこで、アレシボ天文台では、パラボラに対向している受信器を移動させる。
これで、天頂を中心とした40度の範囲をカバーすることができるのだ。



もともと、アレシボ天文台は電離層の研究のために建設された施設だ。
天頂のみに指向していれば、電離層の調査は可能だ。
しかし、天文の電波観測施設にも転用するために、受信器を移動可能に改造したのである。



アレシボ天文台は電波望遠鏡の機能の他に、レーダーや、電波の送信アンテナとしても利用できる。




アレシボ天文台の成果

水星の自転周期

1964年にアレシボ天文台からのレーダー観測によって、水星の自転周期が特定された。


水星は太陽に近いため、潮汐力によって自転周期と公転周期が一致していると予測されていた。
しかし、太陽に近い水星の表面を望遠鏡で観測するのは困難だ。


そこで、水星に電波を照射し、反射波をモニターすることによって、地形の見えない水星の自転周期を測定することにした。
その結果、自転周期が59日であることが確認された。




かに星雲のパルサー

おうし座かに星雲(M1)の中心にあるパルサーはアレシボ天文台によって発見された。


それ以前、中性子星は理論上の存在であったが、超新星の残骸の中央でパルサーが発見されたことによって、中性子星の実在が明らかになった。




SETI@home(セチ・アットホーム)

宇宙から来る電波の中には、地球外の知的文明が発した人為的な信号が含まれているかも知れない。
このような信号をキャッチしようという試みがSETI@homeだ。
セチ・アットホームと読む。


SETI@homeでは、アレシボ天文台が受信した電波を分散コンピューティングによって解析する。
この解析は世界各地の有志によって実施される。


解析用のアプリケーションが無償配布されている。
有志はこのアプリケーションを自分のPCにインストールすることによって、膨大な解析作業の一端を担うという分けだ。




アレシボメッセージ

送信アンテナの利用例としてはアレシボメッセージが有名だ。



1974年、地球外知的生命体探査の一環として、アレシボ天文台からM13に向けてメッセージが送信された。
M13は古い星(種族II)で構成されているので、地球より進んだ文明が存在する可能性が大きいと考えられたからだ。



地球からM13までの距離は、2万5000光年である。
これは、アレシボ・メッセージの到達が片道2万5000年後であることを意味している。
つまり、往復5万年の通信になるのだ。



これから分かるように、アレシボ・メッセージは地球外文明との交信を目的としているのではない。

アレシボ天文台の改装記念の式典で行われたイベントであり、市民へのアピールという意味が強い。
式典の開催日時に、M13はちょうど送信しやすい位置にいたのである。
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アレシボ天文台の運命

米国科学財団は、アレシボ天文台を2011年に停止することを予定している。





アレシボ天文台の周辺地図

Google mapによるアレシボ天文台の周辺地図。
アレシボ天文台のパラボラが確認できる。

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参考文献・サイト

National Astronomy and Ionosphere Center (NAIC)
NSF

2008/09/03



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