電波天文学を語る。
電波天文学とは
電波と光
天体は目に見える光(可視光)と同時に電波も放っている。
天体の放つ電波を研究する分野を電波天文学という。
もしも電波が目に見えるとしたら、宇宙はどのように目に映るのか? を研究する天文学と言ってもいいだろう。
もちろん、それ以外にも、天体はどのように電波を出しているのか等も研究する。
光(可視光)も電波も電磁波の一種である。
電磁波は波なので、様々な波長がある。
このうち、人間の目は波長が0.77μm〜0.38μmの範囲の電磁波を光として感じ取る。
つまり、この範囲が可視光なのである。
一方、波長がおよそ1mm以上の電磁波が電波である。
可視光も電波も波長が違うだけで、本質は同じなのである。
電波天文学の歴史
人間の目は、可視光しか見えないので、天文学は可視光による観測が長く続いた。
むしろ、天体が可視光以外の電磁波を放っているとは、まったく予想されていなかった。
(一部に予測している研究者はいたが)
天体から放たれる電波が最初に発見されたのは、まったくの偶然であった。
ベル研究所のジャンスキーが、実験中に恒星時に同期して変化する電波をキャッチしたのである。
後日、この電波は銀河系の中心方向から来ていることが確認された。
1930年代であった。
可視光を観測するには望遠鏡を使用するが、電波で観測するためには電波望遠鏡を利用する。
電波望遠鏡というが、本質はアンテナである。
電波天文衛星
でんぱ
日本で最初の電波天文衛星である。
(正式名称:第2号科学衛星REXS)
1972年8月19日に打ち上げられ、1972年8月22日に運用が完了した。
その後、1980年5月19日に大気圏に突入し消滅した。
はるか
日本の電波天文衛星である。
(正式名称:第16号科学衛星MUSES-B)
1997年2月12日に打ち上げられ、2005年11月30日に運用が完了した。
ASTRO-G
日本の電波天文衛星である。
2012年の打ち上げを目指している。
電波源の例
おうし座A
かに星雲(M1)は、強力な電波を放っている。
おうし座で最も強力な電波源なので、これをおうし座Aという。
おとめ座A
おとめ座にある活動銀河M87は強力な電波を放っている。
これをおとめ座Aという。
オリオン座A
オリオン大星雲(M42)は、明るい散光星雲であるばかりでなく、強力な電波も放っている。
オリオン座で最も強力な電波源なので、これをオリオン座Aという。
スポンサーリンク
参考文献・サイト
Radio Waves
Radio JOVE
NRAO:Radio astronomy is the study of the invisible universe
2008/07/05
2009/10/15