や座を語る。
や座(矢座)は、夏の星座である。
全天の88星座の中で、3番目に狭い星座である。
4等級よりも暗い星ばかりであるが、矢の形に並んだ星の配列は非常に目立つ。
や座は、ヘラクレスが鷲(わし座)に向かって放った矢が由来とされるが、諸説も多い。
や座(矢座)は、トレミーの48星座である。
トレミー48星座は、2世紀以来使われてきた。
しかし、18世紀に、トレミー48星座の中のアルゴ座がラカイユによって分割された。
や座を含む残りの47星座は、すべて現在の88星座に引き継がれている。
や座の主な恒星
や座α [α Sge]
や座αはアルサムという固有名で呼ばれる場合もある。
アルサムには「矢」の意味がある。
G型の恒星で、太陽系から475光年離れている。
や座αは、太陽の4倍の質量を持ち、340倍の明るさを持つ。
や座β [β Sge]
や座γ [γ Sge]
や座で最も明るい恒星がや座γだ。
太陽系から274光年離れてたK型星である。
や座15 [15 Sge]
や座15星は、G型の主系列星Aと褐色矮星Bから構成される連星である。
Aは太陽に似た恒星である。
太陽と同等の質量を持ち、直径は1.1倍である。
年令は30億年なので、太陽よりも15億年若い。
BはAから14天文単位(AU)離れた軌道を公転している。
Bの質量は木星の55〜78倍と見積もられている。
この星系には、知的生命が住む可能性も示唆されている。
1999年、ウクライナにある70メートルのレーダーを使って、や座15星に向け電波によるメッセージが送信された。
このメッセージは2057年にや座15星に到着する。
や座の主な星雲・星団
や座は、みなみじゅうじ座、こうま座に次いで3番目に狭い星座である。
みなみじゅうじ座、こうま座にはメシエ天体がないので、や座はメシエ天体を持つ最小の星座ということになる。
M71
M71は、密集度の低い球状星団である。
や座γ星、や座δ星のほぼ中間にあるので見つけやすい。
当初は散開星団だと思われていた。
太陽系から1万8000光年離れている。
1746年に発見された。
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NGC6879
や座の惑星状星雲である。
13等級のため、目立たない存在だ。
太陽系から2万0500光年離れている。
NGC6886
や座の惑星状星雲である。
12等級のため、目立たない存在だ。
太陽系から2万2200光年離れている。
や座のその他の天体
B1957+20(パルサー)
5000光年先にあるパルサーである。
1600分の1秒で自転しているため、ミリセカンドパルサーに分類される。
このパリサーは数十億歳である。
通常、パリサーは時間が経つと自転が遅くなる。
ところが、このパルサーは連星で、相手の恒星から引き寄せた物質がパルサーに降り積もり、回転数がアップしたのである。
SNR G54.1+0.3(パルサー)
1万6000光年先にあるパルサーである。
このパルサーは約3000年前に爆発した恒星の残りで、超新星残骸の中にある。
や座FG [FG Sge]
非常に不規則に変化する変光星である。
過去100年間に13.7等から9.1等に変化した。
さらにスペクトルもB型からK型に変化している。
や座WZ [WZ Sge]
およそ33年周期で増光する変光星である。
や座U [U Sge]
こぎつね座との境界付近にある、12.5時間周期の食変光星である。
極小が1時間続く。
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参考文献・サイト
Constellations
Star Tales
Chandra X-ray Observatory
AAVSO:FG SGE
BBC:Constellations
2008/05/14
2010/06/01